【学園アリス】MEVIUS XIII (ページ27)

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北の森まで走ってきて、どうやって探すかと思案していると柊人が動き出す
柊人「俺が声拾う」

制御ピアスに手をかけ、目を閉じる
頭を働かせて直接頭に降りかかってくる声を拾っている

北の森は他の人の思考(ノイズ)が邪魔をしないからすぐに声を拾えて走り出す

柊人「こっち！」

私たちは後を追い、森の中だけど少し開けた場所に出てくる
すると耳に届く声

どうやらアルマと星ちゃんが会話をしているようだった

星「私…お兄ちゃんと再会したのつい最近なんです」

…これは出るに出れない話題かもしれない
そう思った私は目で翼を制し、「ちょっと待って」と口パクする

星「再会の時、私はずっとお兄ちゃんに両親の死を報告したり、手紙の返事が一度もなかったこと、泣いて困らせて…。だけどお兄ちゃんは『ごめんな』って。ただ優しく笑って抱きしめてくれるだけで」

森の中に隠れて星ちゃん達に目をやれば、誘拐した筈のアルマが小さくなって座っている
立場が逆転していて、誘拐したのどっち？と思うほど
しおらしく座っていて、何があったのかと不思議に思う

星「そしたら何も言わないお兄ちゃんの代わりにお友達さんが教えてくれたんです」

星ちゃんがずっと翼を責めていた事を知った棗が気を利かせたらしい
やっぱり棗は優しい

翼が居なくなった後、静かに星ちゃんに言っていた言葉…

棗『翼(アイツ)は返事書いてたさ。でも当時目をつけられてた生徒の手紙が、学園の外に届くことはねえからな。アイツの頬の星はその頃の反抗でつけられた罰則勲章だとよ』

星「お兄ちゃんの笑顔を嘘も、色んな苦しみや悲しみを経てできた『強さ』から生まれたって知って。だからお兄ちゃんの眼差しは、あんなに深い優しさに溢れてるんだなって。だからあんなに太陽みたいに暖かく包み込んで、人の芯から人を幸せにする笑顔なんだなって」

翼だってずっと笑って過ごしてきたわけじゃない
昔の私と同じように色々あって今がある
過去を経て今の翼がある

星「私にとってこの世で一番の男の人のかっこよさは何と聞かれたら、お兄ちゃんのあの誰かを幸せに出来る眼差しです。できるものならそんな眼差しを、そんなかっこよさを身に付けたくて…。こんな曖昧じゃダメでしょうか？」

何を話していたかははっきりしないけど悪い話じゃなさそう
沈んでいたアルマも元気を出して、意気投合すると二人は北の森を抜けようと走り出した