月下美人の君【蒙恬ルート.2】 (ページ5)

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誤解.3 ページ5

他国に進軍していた楽華隊。同じく玉鳳隊と飛信隊も参戦していた。ようやく戦地に赴き、軍事編成を整えた所への急報だった。

兵士「若ー！！蒙恬様ー！
いずこにおられますか？！」

胡漸「…騒がしいな。今は軍議の最中だぞ」

兵士「それがッ！なんと、
A様がご懐妊されたそうです！」

胡漸「ッ！な…なんだとッ！！！

ついにッ……若の子を抱けるとは……！！

はやくっ、…、はやく！
蒙恬様に伝えて差し上げなくては…！！」

その知らせは、本当に長い歳月老将が待ちわびてきた物だった。喜び興奮する体で、まともに歩けなかったが、それでも転がるようにして主君の所まで向かう。

ちょうど軍議が終わったのか、信達と話しながら天幕から出てくる蒙恬が見えた。

胡漸「蒙恬様ッー！！！！

やりましたぞッー！！！！ついに、ついに

A様にお子がッー！！！！」

その一言で、持っていた物をドサドサ…と
地面に落とし、固まる蒙恬。
そのまま一歩も動かない彼に、心配して隣の信が声をかける。

信「も、蒙恬…。お、おめで………ッ！」

長年彼女を争ってきたライバルとして悔しい部分もあるが、純粋に幸せになってほしい。

「おめでとう」伝えようとした時、蒙恬の体が震えその目から涙が出ているのが分かった。

蒙恬「……俺に、

Aとの子供が……？？」

その姿は普段取り乱す事がなく、
飄々としている彼からは想像出来ないものだった。

王賁「………泣くなら、自分の天幕で泣け」

そう言って珍しく蒙恬の震える肩を支える王賁。

蒙恬「…ごめん、ごめん。

死ぬほど嬉しくって…
こういう時どんな顔すればいいんだろう」

愛しい彼女との間に出来た子どもだ。
絶対可愛い。可愛くないはずがない。

新たに守る者が出来た重みも嬉しくて、
天にも登りそうな気持ちだった。
…自分にも家族が出来たなんて。

信「そこは純粋に、
『でかしたぞ！A～！』って
喜んで良いんじゃねーか？」

蒙恬「ああ！…ありがとう！信！」

信「おい！…抱きつくなよッ！」

蒙恬「王賁も！」

王賁「…やめろ。気色悪いぞ」

胡漸「蒙恬様ッ！！ついに長年の悲願が！！

じィは嬉しすぎて、
もう死んでも悔いはございません！」

蒙恬「じィも…長年の側で支えてくれて
ありがとう。

…死んじゃったら、
俺の子どもを一番最初に抱っこできないでしょ？

こうしちゃいられない…！
はやく戦を終わらせて、Aの所へ帰ろう」