脣星落落.4 ページ35
彼女の長い髪を掻き上げて、真紅の鮮やかな簪をA付けてあげる蒙恬。その様子を見て、店主が思わず声をかける。…すると、Aが褒められた事を自分のように喜んだ。
蒙恬 「でしょ、でしょ!
俺の奥さんは、世界で一番可愛いから…♡」
A「ちょっと…恬っ!///
人前でっ…!」
店主 「おくさん…?奥さんって
ひゃー!!
こんな美人モノにしたのかい!?
お〜?!よく見れば、
兄さんもお似合いの色男だね〜!
こいつは良いっ!
良かったら、それ持ってっていいから、
2人でうちの店の宣伝でもしてくれィっ!」
A「ええーっ!そんな…
代金はちゃんと支払いますから…!」
店主 「いいんだよ!
… 蒙驁様も亡くなって、
町も辛気臭くなってたからな…。
若い夫婦が幸せそうな顔して歩けば、
少しは周りも明るくなるってんだ!」
蒙恬 「じゃあ、有り難く受け取らせてもらうよ!
…今度来た時は、また寄ってくから」
店主 「まいどぉッ!」
A「あ、ありがとうございました!!
…また来ますっ!」
ぺこっとお辞儀をすると、
太陽のようにニカッと微笑まれた。
なんだか気持ちの良い店主だった。
腰に手を回した蒙恬に、寄り添いながら
帰り道を歩く。
A「優しい人だったね。
これ、本当に貰っちゃって良かったのか…?」
蒙恬 「そうだね…。
じゃあ、次来た時また別の物を買おう!
…Aが使っていた簪も
結構経つんじゃない?」
A「これは………いいの。
恬がくれた物だから…」
そう言って大事そうに、宝物を抱きしめるように
簪を手に抱える。
突然の不意打ちに、
心臓がきゅんっ……!と掴まれた。
よく見ると確かに軍師学校時代、
自分がAに贈った物だった。
あれからだいぶ時間が経つのに、
汚れひとつ付いていないのは、
日頃から彼女が大切に使ってくれている証だった。
過去に簪を送った女性は確かにA以外にもいる。
だが、どの女性達もより高価な物がほしいと
ねだられた。
名家の出身の自分であれば、
買ってやる事ぐらい造作もないが…
何年も大切に使ってくれるいる彼女の姿に、
改めて感動させられるのだった。
蒙恬 「ほっっっんとに、
Aは俺のこと夢中にして離さないよね〜」
A 「えっ!?…急にどうしたの?
他に夢中になる人が出来た……?」
蒙恬 「すーぐ
そういう可愛い表情(かお)するとことかさっ!
…ずるい」
87人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏目 - 私も蒙恬推しなんで嬉しいです。もし蒙恬の子供ができた話も見てみたいです (2021年10月31日 7時) (レス) id: 1b00569172 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:09kokoa | 作成日時:2020年9月19日 10時