face 25 ページ25
「っは！？」
驚きすぎて椅子から立ってしまった。
がたんっ
大きな音を立てて椅子はその場に倒れた。
「…そんなに驚くってことは、自分のもう一人の人格については自分で把握できないのね。」
「できるわけないだろ。もう一人の人格が俺様で強引な性格なのは知ってるけど…」
「その人と関係持ってるっていう話はしたわよね？」
「あぁ…そういえばな。」
「その時、体を重ねてる時。ビナさんは少し瞳を潤ませて悲しそうな顔したの…何を考えてるのかわからない。ただ確実にいつものビナさんじゃなかった。」
「？それがどうしたんだ？」
「…そんな表情するのは初めてで戸惑ってたんだけど、１つ気づいたことがあったわ。」
「…気づいたこと？」
サラは顔を伏せている。
どんな表情をしてるのかわからない。
気づいたことってなんだ？
「…っ記憶を思い返してみればちゃんと確かな理由があったわっ…」
「…サラ？おい、なんで泣いてんだよ。」
「あの人。ビナさんは…あの子の名前を呼んでたっ…そうでしょう？昨日だってあなたあの子に駆け寄る時にAって叫んでた…ねぇ。ホンビン、あなた本当は気づいてるでしょ？Aさんからビナさんにあったっていう話聞いたんでしょ？」
「…聞いたけど。まさか好きになってるとは思わなかったから。」
「ビナさんをあの冷徹で強引な人を、どうやって好きにならせたかはわからないけど。
嫌よ…あの人がAさんのとこに行って欲しくない。」
「…ビナの気持ち次第だ。それに俺は俺でいるためにビナを消す。それが最優先のことだ。Aをビナに奪われるのはなんとでも阻止したい。これ以上あいつのせいで傷つく人が増えないように。」
「ビナさんのこと、わたしが好きになったって言ったらどうする？」
え？……………
サラがビナを好き？
驚きすぎてサラの方を勢いよく見ると、サラはなんとも言えない目でこちらを見ていた。
「変な感覚でしょ？自分のこと好きって言われてるわけじゃないのに、体を共有してるからわたしと付き合えばあなたと付き合うことにもなる。」
「…サラ。傷ついて欲しくないから言っておく。ビナはやめろ！何を考えてるのかわからないが、サラ、もう関係を持つのはやめろ。きっぱりと諦めればビナだって変な考えなんてなくなるはず…」
「…あなたよりもビナさんは周りを見れる。あなたはいつも自分だけなのね。」
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作者名：プディン | 作成日時：2016年7月2日 12時
