face 24 ページ24
「社長。明日の午後三時から役員会議があります。ご出席されないといけませんが…また何か予定でもありますか？」
「…いや平気だと思うが。もし出られなかった場合はセフンを出しておいてくれ。」
「セフンさん？あの方は確かホンビンさんの弟さんでいらっしゃいますよね？なぜあの方を社長代理に？」
「俺のおかげであいつも苦労してるんだ。だからみんなの上に立てるような機会を作り、あいつが立派になって欲しいと思って。」
「…弟思いなのですね。わかりました。セフンさんに一声かけておきます。では失礼します。」
はぁ。セフンは元気にしてるかな。
しばらく顔出してないし、たまには顔出してやるかな。
それにしても…あの時感じた違和感はなんだ？
突然知らない幼い男の子の声が聞こえた。
あれは誰に言った言葉だったんだ？
俺の中で知らない子の声が聞こえるなんて、気持ち悪い。
トントンッ
「ホンビン。わたし、サラよ。」
「あぁ、サラ。どうした？今休憩か？」
「そう。でも休憩の前にあなたとどうしても話しておきたいことがあって。」
「…話しておきたいこと？何？」
サラはドアから離れて俺の机の前まで来た。
そして１つ深呼吸をすると俺の目をみた。
「…あの時あの女の子に向かって必死に走って行ってたわよね？」
「そうだけど…それが？」
「あの子はあなたの病気について知ってるの？」
「…知らないよ。病気のことを知ったら化け物扱いして離れてく。
そんなことされるのは死ぬよりつらい。だから…秘密は話さないつもり。」
「そんなに好きなのにどうして話さないのよ。」
「俺から離れていくのが怖いから…」
「そんな確信もないくせにいつまでも怯えて何考えてるの？」
「…確信がないから余計怖いんだ。離れていくのがわかるならほどほどの関係で保てばいい。だけど受け入れてくれるかもしれない、そんな思いでどうやってそばにいろっていうんだ。」
「…彼女はあなたのこと化け物扱いするほど安い女なの？」
「…そんなことない。ただ好きな彼女でさえ信じられない自分が嫌だ。
もう人格のせいで誰も傷つけたくないし、俺自身も傷つきたくない。」
「ビナさんもあの子のこと、愛しそうな目で見ていたわ。まるでずっと前から恋していたように。」
「…え？」
「あなたのもう１つの人格もその女の子に恋してるみたいね。」
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作者名：プディン | 作成日時：2016年7月2日 12時
