face 23 ページ23
目の前には唇が触れそうなぐらい近いサラ。
サラは目を閉じかけてる。
なんだこの状況。俺はなんでサラとキスしようみたいな雰囲気になってるんだ？
「っちょっと待って！なんでサラとキスしようみたいになってんの？俺サラとそんな関係じゃないじゃん！」
「え…ホンビン？ホンビンに戻ったの？」
「…さっきまでもう１つの人格が出てた？」
「うん…ビナさんがわたしに顔を近づけてきたと思ったら目の前には焦った顔したホンビンがいるし、こっちだってびっくりよ。」
「…ごめん、しかしここどこ…」
横を向くとこちらを見て涙を流してるAがいた
え…もしかして見られた？
そう気付くよりも早く気付けばAの元へと走っている自分がいた。
「A！」
振り向きたくないとでも言うように、Aは俺の声に反応を示さない。
そんな姿がなぜか悲しくって、無理やり肩を掴んで俺の方に向かせた。
「A！？なんで泣いてるの？俺何かした？」
「何かしたってなに！あの人とキスしてたじゃん！
あの人誰？付き合ってる人いるならちゃんと言ってよ。わたし一人だけ勘違いして…」
ムキになっているAを見たのは初めてだ。
それに、主人格じゃなかったにしても、さらにキスしようとしたのは事実だ。
でも真実を話して嫌われたらどうする？
せっかく新たにスタートを切れそうな時に。
ここは真実を隠して、キスしようとしてたのもごまかして、いつも通りでいよう。
「…あ、あいつと俺がキスした？いや…あいつはただの幼なじみだけど…」
「…へ？」
戸惑ったような顔してる。
このまま何も勘付かないでくれ。
Aに秘密を知られてしまう余裕なんて、小心者の俺にはない。
Aに打ち明けられない秘密。
それは…解離性同一性障害。
知られてしまったら人はみんな離れてく。
だから友達もいない。恋人もいない。
家族だって生き別れの弟しかいない。
恋だってしたことない。
こんなに寂しくてつまらない俺を受け入れてくれて、誰が愛してくれるって言うんだ。
悲しく辛くて色のない人生に、誰が、誰が手を差し伸べてくれるんだ。
行かないで。
お願いだから離れないで。
私を一人にしてどこに行くの？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：プディン | 作成日時：2016年7月2日 12時
