モブだって可愛いだろうが **

88.モブだってキレる瞬間 ページ4

、










そろそろ離さないと、と思って手を退けようとすれば、グイッと手首を掴まれて掌に癖毛の感触。







何？って目で訴えれば
















「…もう少し。」















気持ち良さげに目を細めて頭を撫でられてる赤葦。




お前は猫ですか。















「いつもはしっかり者なのに珍しい…」



「というか、Aの手が好きだから。」














言った後に「いや、少し違うな」と呟いて。





無防備なその表情から一転して、妖艶に微笑む赤葦。
















「好きな子の手だから、落ち着く。」
















低い声で落とされた言葉に暫し黙考して




理解に苦しんでいると。















「あ、Aさんここにいたんですね」



「…………国見、青城の部屋はあっちだよな」



「赤葦さんも試合前に青城側にいましたし、お互い様ですよ」















謎理論を振りかざして容赦なく入り込んでくる後輩に赤葦と引き剥がされる。














「Aさん、存在感なさすぎて探すのに苦労しました」



「国見くんは態々喧嘩売りに来たのかな！」



「俺はすぐわかるけど」



「眉間のシワを何とかしようかモテ男。」











「え、凄いですね。この人モブ顔なのに」


「間違っちゃいないけど腹立つな国見くん」
















私も思ったけどね。多分赤葦は本気で見つけ出せるから。





乱入して来た国見くんに赤葦はいつもの冷静な顔で。














「Aを返して欲しいんだけど、いい？」



「ダメです」



「………。」



「赤葦他校の後輩に優しく！！」













表情こそ変わってないけど確かに黒いオーラが立ち込めた。




気持ちはわかるけど。














「…国見は、Aをどうしたいの」



「オモチャにしたいです」




「赤葦、ちょっと体育館裏に連れてこうコイツ」


「他校の後輩に優しくはどうした」















赤葦に食い止められて理性を取り戻すも



煽っていくスタイルなのか鼻で笑われて。















「だから''ヒロイン''になれないんじゃないんですか？ モブマネ先輩。」















私の理性がブチッッと音を立てて切れた。

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