モブだって可愛いだろうが **

17.モブだって胸キュンシーンに巻き込まれる ページ17

、
















「あ、赤葦髪に埃ついてる〜」




「本当ですか？ 取って。」




「だから何で私なの」



















白福さんの言葉に促されて髪を見れば、確かにちょっと埃がついてる。








…………頭のてっぺんか。






















「……背が高すぎて届かないんですけど」




「これなら届くだろ」













スッ、と背中を丸めて頭を差し出す赤葦。



















「でも手掴まれてるから」




「反対の右手が空いてるだろ」




「……」



















赤葦の髪に触れるのを躊躇してる私を不思議そうに眺める雀田さんと白福さん。










……別に髪を触るのが嫌なんじゃない。また髪触ってる時に抱きしめられたら困るからだ。














.

















「…俺を警戒してるの？」




「そうだけど」




「遅いよ。やっとか」






















警戒されてるのに、何でか赤葦はクスリと口角を上げて笑みをこぼす。






どこに笑う要素があったんだ今。






















「何で嬉しそうなの？」




「Aがやっと俺を意識してくれたからかな」




「恐ろしくポジティブか」




















釣り合わない顔面偏差値2人がこうしてるのも不可解なので白福さんに視線を向ける。





















「白福さん、頭のホコリ取ってくださ……」





「……俺はAに頼んでるんだけど。」





「「…………」 」





「……つまり？」
























掴まれたままの手首に力が込められて、赤葦は目を伏せがちにして私へと密かに耳打ちをした。




















「…俺はAがいい。」





















そう言われて一瞬だけ思考が止まる。










取り敢えずわかるのは、モブが相手じゃ今の状況も胸キュンシーンにはならないという事。

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