第百四十三夜 ページ1
太宰は言葉に詰まったように沈黙した
それから言った
「これまでの戦闘の規模から、ミミックのおおよその残り兵力が判ってきた。二十名強。まだ連中は余力を残している。そしておそらく、西の山岳地帯に本拠地がある。詳しくはこれから──」
「連中の居場所ならもう判っている。招待状が来たからな」
織田作は太宰に先程見付けた地図を渡した
�猴�霊の墓所�瓩判颪�れた地図だ
太宰はそれを見て眉をひそめた
「連中は兵力を一箇所に集めつつある。マフィアの全兵力を結集しても、破れるかどうかは判らない。なんとしででも夜鳥を呼ばないと」
「結集する必要はない。Aを呼ぶ必要もない」
「織田作、聞くんだ。数時間前、首領が秘密の会合に出席したらしい。相手は異能特務課。安吾を仲介役にした会合だ。機密度が高すぎてこれ以上は裏を取れなかったけど、このミミックの一件にはまだ何か裏がある。感じるんだよ。それが判るまでは──」
「何か？」
織田作は太宰のほうを見た
「何かなどないよ太宰。もう凡ては終わった。後にあるのはどうでもいい事だ。俺がこれからしようとしている事も。そうだろう？」
「織田作」
太宰は静かに言った
「おかしな言い方を許して欲しい。でも行くな。何かに頼るんだ。この後に起こる、何か良い事に期待するんだ。それはきっとある筈なんだ。……ねえ織田作。私が何故マフィアに入ったか知っているかい？」
織田作は太宰を見た
彼らは長い付き合いだが、太宰は一度もその話をしようとはしなかった
「私がマフィアに入ったのは、何かあると期待したからだよ。暴力や死、本能に欲望、そういうむきだしの人間に近いところに居れば、人間の本質をより近くで見ることができる。そうすれば何か──」
そこで太宰は言葉を切った
そして言った
「そうすれば何か、生きる理由が見つかると思ったんだ」
織田作は太宰を見た
太宰も織田作を見た
「俺は小説家になりたかった」
と織田作は言った
「任務でも人を殺したら、その資格がなくなると思った。だから一人も殺さなかった。だが、それももう終わった。資格はなくなってしまった。今の望みは、ひとつだけだ」
「織田作！」
織田作は歩き出した
太宰が叫んだが、振り返らなかった
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信乃☆(プロフ) - ウイさん» ありがとうございます！アニメの方も二期に入りましたね！それとウイ様の応援を糧に頑張っていきます！ (2016年10月6日 22時) (
レス) id: 6e49df737f (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - 良いです！良いです！とっても面白いです！ 更新宜しくお願いします！ 頑張って下さいね！ 応援してます！ (2016年10月6日 21時) (レス) id: 22b43887b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：信乃☆ | 作成日時：2016年10月2日 19時
