少女の紡ぐ｛千一夜物語｝〜第１章〜

第十五夜 ページ17

3分後彼等は首領の部屋に着いた



「そういえば夜鳥何歳？」



ふと太宰が尋ねる



「13です」



Aがそう答えると太宰がゲッという顔をする



12歳までが首領の守備範囲なのだが、容姿が良ければ少しの差は許す気がしたからだ



何の守備範囲かというと……



「実は首領は、その……俗にロリコンと呼ばれる類の人種なんだ。変なことされそうになったら回避してね。でも余計なことは言わないようにね」←



A少々矛盾した忠告にどういう意味だろうと戸惑いがちに頷く



太宰は部屋の扉をノックした



出ない



代わりに



「待ってよエリスちゃ〜ん！このお洋服着てくれよ〜」



「嫌！リンタロウキモい！」



と大人と幼女が追いかけっこしているような音が聞こえた



Aの口から思わずは？という呟きが漏れる



「あ、あの……この喋ってる人って首、首領ですよね？」



戸惑いがちのAに頷き、仕方なく太宰がドアを開けると



「エリスちゃんにはこの赤〜いドレスが似合うよ〜！」



「来ないでリンタロウ！」



とキャッキャウフフしているおっさんと幼女



おっさ……大人の方が気づき、



「あぁ、太宰くんか……君は何も見ていない。いいな」



とキメ顔で言った



「はい。私は赤いドレスを持ってエリス嬢と追いかけっこをしている首領は見ていません」



太宰が返事をするとよろしい。と苦笑いするが



Aの方を見た瞬間



「…誰だいその可愛い子は！？」



と目をキラリと光らせた



思わずAの顔が引き攣る



「この子が昨日保護した異能力者です」



太宰が説明すると首領は



「そうかそうか！よくやったぞ太宰くん！」



と今までで1番嬉しそうに太宰を褒めた



「お嬢さん、名前は？」



ときかれたので



「夜鳥Aです」



とAが答えると可愛い名前だね！と謎にデレられる



「しかしその格好では台無しだ！ちょっとこっちへ来たまえ！」



そう手招きされ、Aは大人しくついていく



「さぁ！どれを着たい！」



首領が衣装棚を開けると色とりどりのドレスが



「え、えっと……？」



まさか自分がこのようになるとは思っていなかったAは体を硬直させる



「うーん、君だったらこの黒いドレスが似合う！早速着替えてこよう！」



Aは無理やり連行された



更衣室の中から



「太宰さん分かってたんでしょう！バカぁぁっ！」



と叫び声が聞こえたが太宰はすまし顔でスルーした

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