霊感系女子と帽子の彼〜第二幕〜【中原中也】

●何気に初デート ページ2

俺は集合場所の公園のベンチに腰掛け、ぼんやりと空を見上げた



自分の白い息が、雲ひとつない青空を背景に消えていく



時刻は12時00分



集合時間の３０分も前に来てしまった



Aの事だから五分前ぴったりに来るとわかっていながらもこんなに早く来てしまった



言い訳にしか聞こえないだろうし、実際言い訳なのだが、何しろ初デートなのだ



信じ難いだろうが、何気に一度もデートはしたことがないのだ



緊張するのは当たり前だし、居ても立っても居られなくなって家を出てしまうのも当たり前だ



かと言って、３０分前は早過ぎたか……



俺はため息をつき、またぼんやりと空の観察を続けた



それから２５分後



やはりAは俺の予想通り五分前に来た



が、その服装は俺の予想からはかけ離れていた



白いセーターに黒い膝上のスカート



Aが絶対着ることのないだろうと思っていた服装でAは現れたのだ



あまりの驚きにまじまじとAを見つめていると、Aは俺をからかう事もせずにため息を吐いた



「うん……変って事は判ってるからさ……。仕方なくなんだよ……これ着ないと友達やめるって探偵社のみんなに言われて……」



Aはそう自嘲気味に言うが、正直言葉を失うほど綺麗だった



探偵社、ナイス



「……行こう。自分で言ってて悲しくなってきた」



俺はそう言って歩き出すAを追いかけ、その頭に手を置いた



「……その、似合ってるから。自信持って良いぞ？」



そう言うとAは驚いたような表情で顔を上げたが、顔を少し赤く染めてふいと横を向いた



「……ありがと。世辞でも嬉しい」



世辞でも、と言うあたりAらしいが、決して世辞ではなかった



足綺麗なんだからもっと履けばいいのに……



そう思ってAを見つめていると、Aは少し赤い顔でチラリとこちらを見て、戻して、またこちらを見て口を開いた



「……中也が履いて欲しいなら、もうちょっとスカートも履くようにする」



どうやら顔に出ていたようだ



俺はその恥ずかしそうなボソボソとした声を聞いて頬を緩めた



「あぁ。じゃあまた次のデートもスカートで来いよ。折角綺麗な脚してんのに勿体無いぜ」



そう言って頭を撫でるとAはスカートだとなんか調子狂う……とぶつぶつ呟きながら、頬を赤く染めていた

○やけに素直→←○デートの服装

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