霊感系女子と帽子の彼〜第二幕〜【中原中也】

○違和感の正体 ページ5

_______________何か変だ



私は向かいの席に座ってボーッと窓の外の景色を眺めている中也を見て首を傾げた



こんなにぼんやりしているなんて珍しい



「……本当に、今日大丈夫？なんかあったの？」



そう尋ねても、何もないの一点張り



その表情からすると嘘ではないと思うんだけど……



私はため息をついた



……まぁ、少ししたら戻るだろう



特に話題もなく、私も窓の外に視線を投げかけてみると街の景色がかなり小さくなっていた



どうやら頂上に近いようだ



私の頭の中にあるジンクスが思い浮かぶ



いつしかクラスの女子が言っているのを小耳に挟んだ



確か_______________観覧車の頂上でキスを交わしたカップルは永遠に結ばれるとかなんとか……



あまりそう言うのは信じていないが、ロマンチックではある



だけど中也がこの調子じゃな……



そう心の中で肩をすくめていると、肩を叩かれた



振り返ると、中也が私の顎に手を添えた



_______________あぁ、もう頂上か



と言うか、ちゃんと知ってたんだ



さっきまでボーッとしてたのはこの事考えてたのか？



だが中也の顔はやはりいつものような鋭さに欠けている



本当に大丈夫なんだろうか



私はそれをもう一度尋ねようとしたが、キスで口を塞がれたため言葉を口に出せなかった



だけれどキスした事で、私のしようとしていた質問は意味をなさなくなった



熱いのだ



唇、吐息が異常に



「中也。風邪ひいてるでしょ」



私は中也の額に手を当てた



燃えるように熱い



本当に湯でも沸かせそうな勢いだ



いや、まぁ流石に無理だろうが



中也は首を横に振った



「いや、別に大丈夫だが_______________」



だが中也はそこで言葉を切って何もないところに視線を落とす



織田作さんと話しているのだろう



私が話し終えるまで待っていると、突然中也が顔を引きつらせた



「いや、だから風邪じゃねぇって……マジで、大丈夫だから……」



織田作さんは気づいてるんだな……



そう思いつつ私は往生際の悪い中也を軽くしばく



「家まで付いて行ってあげるから。これ降りたら帰るよ」



中也は不本意そうな顔をしたが、私が睨むと大人しく頷いた



はぁ……道理で素直だったわけだ

●看病→←●観覧車

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