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○第卌詩話 ページ46

中也さんと___________キス出来るか?



私は顔が真っ赤になるのを感じた



思わず机に突っ伏する



キス___________できるんだろうか



想像もつかなかった



まず、キスが実際どんなものなのかも判らなかった



「…できない?」



太宰さんの声が聞こえた



私はこう答えるしか無かった



「…判らないです」



自分の気持ちが、判らなかった



友として愛しているのか、男性として愛しているかが判らなかった



太宰さんの気配が向かい側から横に移動する



「ねぇ」



耳元で声が聞こえ、思わずビクッとしてしまう



顔を上げると太宰さんが真剣な顔をしていた



あの時の中也さんの顔と、何処か似て居る気がした



「迷うという事は…まだ、期待しても良いのだよね」



私はその目に射竦められ、思わず後ずさった



壁にとん、と肩がつく



太宰さんが私の上から覆いかぶさるように壁に腕をついた



「もし、君が嫌なら……中也の方が好きならば、私は身を引くよ。君を悲しませたくない。君の意見を尊重する。だけど、少しだけ……少しだけで良いから、私の言葉を聞いてくれ」



私は目を見開いた



まさか



この先に言われる言葉が、なんとなく予想できた



「私は君のその真っ直ぐな瞳に惚れた。他のところも、みんな好きだよ。……今までの誰よりも本気だ。本気で、君の事を愛してる」



私は思わず目をそらした



……これ以上、私を迷わせないでよ神様



頭が、どうにかなってしまいそうだ



「……やっぱり、突然こんなこと言われたって驚くだろうし、混乱するよね。ごめんね。……でも、もう我慢出来ないんだ。はっきりさせておきたいんだ。君は私の事を、どう思う……?」



太宰さんの手が頬に添えられ、ビクッとしてしまう



私は恐る恐る太宰さんの顔を見上げた



その瞳は、辛そうだった



きっと、今から私の言う言葉でも辛くしてしまうのだろう



だって私は___________



「少し、考える時間をください」



自分の感情も判らない、大馬鹿だから



「ごめんなさい」



そう謝ると太宰さんはふっと微笑んだ



「わかった。もう少し待とう。……もし、私に君の全てをくれるのなら___________私を名前で、呼んでくれ」



私は頷いた



泣きそうな、心境だった

○第卌伍話→←◎第卌参話


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作者名:信乃☆ | 作成日時:2016年12月9日 23時

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