○第卌壱話 ページ43
私はその真剣な顔に口を閉ざす
中也さんはゆっくりと口を開いた
「……こんな形になっちまって、ごめん。本当はもっとちゃんと伝えたかったんだが」
青い瞳がじっと私を見つめる
私はゴクリと唾を飲んだ
この勢いでは冗談というノリは期待できないだろう
真剣に聞かなくては
私は中也さんの目を見つめ返した
「……お前のことが、好きだ。友情とか、そんなんじゃねぇ。一人の女として、お前のことが好きなんだ」
私は自分の体重を支えていた手から力が抜けるのを感じた
ポスっとベッドに倒れこむ
「え、と……」
私が何を言おうかと口を開くと中也さんの人差し指が唇に当てられた
「最後まで、聞いてくれ」
私はゆっくりと頷く
「俺は、昔っからずっと素直になれなくて、思ってもいないことを口にして……多くの人に嫌われてきた」
中也さんの瞳が悲しげに歪む
「お前に対してもそうだった。本当は、もっと優しい言葉をかけたかった。出来なくて……ごめんな。……でも、お前は俺がどんな暴言を吐いても、許してくれた。いつの間にか、その優しさに惚れてた」
中也さんはそう言って顔を赤らめながらも私を見つめて言う
「返事は、ゆっくりでいい。たぶん混乱してると思う。……もし、受けてくれるなら」
そこで中也さんは間を置いて、深呼吸をした
「俺の事を、中也さんじゃなくて……中也って呼んでくれ」
私は頷いた
頭がパニックになっていて正常な判断が下せそうにない
中也さんの言う通り、落ち着いて、ゆっくり考えた方がいいと思う
中也さんは微笑んで私の上から退いた
「……飯、なんか食えそうか」
「……は、はい…ありがとうございます」
私は深呼吸をして体を起こし、中也さんの後に続いた
「たぶん、風邪は治ったので、朝ごはんを食べ終えたらお暇しようと思います……」
私が食卓につきながらそう言うと中也さんはどこか寂しげな顔をしたが
「あぁ、風邪治ってよかったな」
と微笑んだ
なんとなく、無理のある微笑み方だった
私は思わず口を開いた
「へ、返事がどうあれ、また、お話ししたいので…引き続き、仲良くしてください」
中也さんは驚いた後、私の頭を撫でた
「悪いな、男なのに気ぃ使わせちまって。こちらこそ、返事がどうあれ仲良くしてくれ」
私の心はグラグラと揺れ動いた
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作者名:信乃☆ | 作成日時:2016年12月9日 23時