霊感系女子と双つの黒【双黒】 (ページ37)

今日:16 hit、昨日:8 hit、合計:558,683 hit

○第卅伍話ページ37

目を細めていると目の前の殺し屋の男が舌打ちをして私の喉にナイフを当てた

「おいそこのお前ら！こいつの命が惜しければ今直ぐ此処から______」

そして叫ぶが、言い切ることができなかった

突然その身体が浮いたからだ

カタン、とナイフが床に落ちる

砂埃の中から中也さんと太宰さんが歩み出てきた

その目は今まで見た中で一番鋭く、そのオーラは今までで一番黒かった

カツッ…という靴音とともに二人の歩みが止まる

中也さんが男を引き寄せて首を掴んだ

「お、お前ら！私は殺し屋だぞ！！こんな事をして唯で済むと___________」

「「それがどうした」」

二人の声が重なる

「「私/俺たちは双黒だぞ」」

中也さんは首を掴んだまま手を振りかぶり、男を思い切りぶん投げた

男は壁に激突し、瓦礫の中に埋もれた

二人がこちらに駆け寄ってくる

「大丈夫かいA！」

「無事かA！？」

中也さんが手と胴体の縄を、太宰さんが足の縄を切ってくれた

「これ、着ろ」

中也さんは若干顔を赤らめながら自分の外套を私にかけた

そうだった

多分今私はものすごく破廉恥な格好をしているだろう

「あ、りがと…ございま、す」

私はそれに腕を通し、前のボタンを閉めた

太宰さんが私の顔を覗き込み、額に手を当てた

「…風邪を引いているのかい？」

私が微かに頷くと太宰さんは私を抱え上げた

「中也、君の家この近くでしょう。彼女を運ぶよ」

「わかった。つかなんで知ってるんだよ…」

中也さんはため息をついた

そして瓦礫の下から男を引きずり出して、また戻した

「悪い、死んでた」

「だろうね。中也ったら本気で投げるんだから…。ごめんね、嫌なもの見せちゃって」

「い、え…大丈夫です…霊になって出たら、今度こそ私が…叩きのめしますから」

私が途切れ途切れに言った言葉に二人が顔を見合わせて笑った

「「それでこそAだね/だな」」

太宰さんは私の頭をゆっくりと撫でて囁いた

「しんどいだろうから、寝てて。大丈夫。何もしないよ」

「…では、お言葉に…甘え…て…」

私は瞼をゆっくりと閉じ、意識を飛ばした