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●第拾参話 ページ14

俺は薬を手渡す時に微かに神城に触れた手を見つめた



薬を渡しても傷をつけてしまった罪悪感は消えない



いや、これが罪悪感なのかもわからない



今まで感じたことの無い感情だから罪悪感だと決めつけていたが、薬を渡しても消えないというのは可笑しい



じゃあこれは何だ



俺は自分に問いかけた



この、胸がざわつく様な、締め付けられる様な感覚は何だ



何度自問しても答えはわからなかった



『…ありがとうございます』



ポツリと呟いた神城の声が頭の中に蘇る



別に礼なんて言わなくていいのに



俺が傷つけたのに何故礼を言う



あんなムカつく面してるくせに何でそんな言葉が言えるんだよ



頭の中を沢山の何故が回る



「チッ…うぜぇ」



俺はそう呟いて足元の石を軽く蹴り、本部のビルの中に入った



エレベーターの前で長期任務から帰ってきたばかりの姐さんとバッタリ会う



「おぉ中也。息災じゃったか?」



「…あぁ」



姐さんは俺の晴れない顔を見てか首を傾げた



「その表情、何かあったのかえ?」



「…別に、何もねぇよ」



俺はそう答えてエレベーターの中に入った



「わっちで良ければ話を聞くぞ?」



俺に続いてエレベーターに入った姐さんがそう言う



俺は少し迷ったが口を開き、昨日と今朝の出来事を語った



「なんか、それから罪悪感じゃねぇけどよ…こう、胸がざわつくみたいな、締め付けられるような…そんな感じがするんだ」



俺が自分のオフィスでそう締め括ると姐さんは驚いた様な顔をした



「…お主が…のう」



何か知っていそうな顔だ



「何か知ってるのか?」



俺が尋ねると姐さんは口を袖で覆ってクスクスと笑った



「…それはな、“ 恋 ”というものじゃ」



…恋?



俺はその言葉を飲み込むのにたっぷり1分ほどかかった



そしてその意味を理解して思わず叫んだ



「はぁ!?俺が、ポートマフィアの五大幹部の俺が!?ちょっと変わってるだけのムカつく女子高生に…その、…恋!?」



姐さんは笑った



「そのものを思い出すたびに胸が苦しくなるのじゃろう?4歳差なら問題はないと思うぞ?」



俺は顔を真っ赤にさせて口をパクパクさせた



…マジかよ

○第拾詩話→←○第拾弐話


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作者名:信乃☆ | 作成日時:2016年12月9日 23時

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