霊感系女子と双つの黒【双黒】 (ページ13)

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○第拾弐話ページ13

「っあー…疲れた…」

私は時計を確認してため息を吐いた

時刻は朝７時

昨日の夜６時からぶっ通しでずっと仕事をしていた

いくら学校で９時間寝たからといって疲れないわけでもないし眠くならないわけでもない

私は今にも降りそうな瞼を必死に開けて自室に帰った

「…一応持ってくか」

私は枕の入った学校鞄に綺麗になった包帯とハンカチをしまった

そして時間に余裕を持って家を出た

また昨日のような目にあっては堪らない

私は昨日と違うルートを通り、学校へ向かう

昨日あのルートを通らなければこんな面倒なことにならなかったのに…

私はため息を吐いて校門をくぐ___________

「おい、神城」

校門をくぐろ___________

「無視は良くねぇなぁ？」

目の前には中原さんが立っていた

周りの女子が何このイケメン…とザワザワしている

「目立ちたくないんで用は手早く済ませてください。何ですか中原さん」

中原さんは外套のポケットから一つの塗り薬を取り出した

見たことの無いもので、奇妙な色をしていた

「これは？」

私が尋ねると中原さんはその…と気まずそうに目をそらし、答えた

「昨日、怪我させちまっただろ。この薬はうちの異能力者に作らせた。そのくらいの傷ならすぐ治るから塗っとけ」

そして中原さんは私に塗り薬を押し付けて、くるりと踵を返した

「…ありがとうございます」

私はそう礼をしてその塗り薬を鞄にしまった

家に帰ったら塗ろう

教室のドアをくぐると女子達がわんさかと寄ってくる

「ねぇねぇ！今朝のあのイケメン誰！？彼氏！？」

「いーなぁイケメン～」

私はゲッソリした

空気になりたい…

「あの人は別にそんなんじゃ無いし、届け物してくれただけだから」

私はそういって自分の席に戻り、枕を取り出した

そしてもう何も話しませんよというオーラを出しながら枕に突っ伏した

枕よ

君だけが私の事を理解してくれるんだな

そうだよな

いや、別に答えてくれなくてもいいんだ

…どうやら私は昼夜逆転の生活が祟って頭がおかしくなったらしい

私はため息をつき、心の中で枕へ語りかけるのをやめて意識を暗転させた