◆23bit ページ25
Aはあの手紙を読んだのだろうか
あの手紙を読んで、どんな表情をしてくれたのだろうか
俺は騒がしい空港内を歩きながらふと考えた
…やっぱりあんな事言わずに、あいつの望む憧れの上司のままでいれば良かった
そうすれば最後まで俺も、あいつも笑ったままだっただろうな
ちゃんと、“行ってくる”
その言葉が言えたんだろうな
後悔ばかりが襲ってくる
晴天の空に反して、俺の心の中はどんよりとした雲に覆われていた
飛行機の中でもふとした拍子にAの事を思い出す
「お飲み物はどう致しますか?」
「…紅茶、ミルクで頼む」
目の前に置かれた紅茶にミルクを注ぐ
白い筋がじんわりと広がり、やがて全体が柔らかい乳白色になる
……あのロイヤルミルクティー、美味かったな
俺はAがくれた缶の紅茶を思い出し、ため息をついた
任務に集中しなければ
ただでさえ神経の使う潜入任務なんだ
油断や余計な思考は命取りになる
そう、判っていたはずなのに
Aの事が頭から離れなかった
控えめに笑うあの声
時折浮かべる楽しげな顔
全てが、愛しかった
どうしても忘れる事が出来なかった
だからだろう
俺は潜入任務3ヶ月目にして、ボロを出してしまった
.
.
頭から冷たい水を打ち付けられる
「言え、どこのスパイだ」
「言う…かよ…」
俺の異能を使えばここにいるやつら全員殺すことなんて、簡単だ
だが、この武器商人には強力な後ろ盾がある
国家という名の
もし俺がこいつらを全員殺したところで空港でやられるか、運良くマフィアにたどり着けたとしても国に目をつけられた奴など匿ってくれないだろう
処刑されるのがオチだ
「さっさと吐け!!」
「…かはっ」
男の強い蹴りが鳩尾に入り、口から血が吐き出される
「何処のモンだ!うちに何の用があった!!」
倒れた俺の頬を思い切り蹴られる
鋼鉄の椅子に縛られたまま壁に激突する
さすがマフィアの本家、伊太利亜
腕っ節の強さが日本の奴らとは桁違いだ
目の前に星が散らつく
ごめん
俺は心の中でAに謝った
生きて、帰ることはなさそうだ
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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黒崎雪兎(プロフ) - 千一夜の方も読ませていただいております。どの作品もとても面白いです。これからも応援しています。とても素晴らしい作品をどうもありがとうございます! (2017年4月8日 15時) (レス) id: ca4c1fbb9e (このIDを非表示/違反報告)
信乃☆(プロフ) - 天さんさん» そこまで言って頂けるとは……!本当に作者冥利に尽きるというものですね!!そういったコメントを頂けるとドン引きどころかむしろ私がテンション上げまくってドン引きされそうです……w本当にこんな素晴らしいコメントを頂きありがとうございました! (2016年12月28日 15時) (レス) id: 6e49df737f (このIDを非表示/違反報告)
天さん - 評価1票だけじゃ足りません!なんて書けばいいか分からなくなるほど叫びました!本当に、この作品に出会えて良かったです…ありがとうございました!もっともっとこの作品について語りたいですが、ドン引き間違いなしなので、最後に、本当にありがとうございました! (2016年12月28日 13時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
信乃☆(プロフ) - 莉猫さん» ありがとうございます!リクエストも受け付けておりますので何かご希望があれば是非リクエストして下さいね! (2016年12月18日 1時) (レス) id: 6e49df737f (このIDを非表示/違反報告)
莉猫(プロフ) - すごく良かったです!とても微笑ましく、ロマンティックなお話でした! (2016年12月18日 0時) (レス) id: 7c2539bb5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:信乃☆ | 作成日時:2016年12月1日 6時