◆10bit ページ12
俺は幸せそうに笑いながらワインを飲むAを見つめた
その頬には少し赤みが差し、饒舌になっている
「…本当に、中也さんに出会えて良かったです」
俺はその言葉にドキッとした
たぶん酔っているのだろう
「昔、見た時からずっと貴方に憧れていたんです」
昔…?
「俺、お前と会ったことあったか?」
俺が尋ねるとAはクスクスと笑った
本当にこいつは酒を飲むとよく笑うようになる
「いえ、ただ私が暇つぶしに潜り込んでた防犯カメラに映ってただけですよ。太宰さんという人と敵組織の人間を建物ごと消してた時の事です」
俺はその言葉にハッと目を見開いた
それは俺が汚濁を使った任務だ
「…化けモンみたいだったろ?」
俺が自虐的に笑うとAは首を横に振った
「…凄く、人間っぽかったです。画面越しでも伝わってくるほどの悲しみを貴方から感じました。それで、憧れたんですよ。あんなにも深い感情を表せる貴方に」
俺はその言葉に胸をつかれた
今までそんな事を言ってくれた人間はいなかったからだ
「それから貴方に会うために必死に仕事して、出世して…此処にいるんです」
俺は何と言えば良いか判らなかった
どんな反応を取れば良いか判らなかった
複雑な心境だった
憧れと言われて嬉しくないわけではない
むしろずっと憧れてくれて、俺に会うために努力してくれて物凄くうれしい
だが青色にキラキラと輝くその瞳に俺は、男としてではなくただの憧れの上司として映っていた
俺はAに恋愛対象として認識されていないのが、悔しかった
でも今は、まだそれで良い
今日からAは俺の家で暮らすのだから、いずれ認識も変わってくるだろう
急がば回れ、だ
「…ふぁ」
Aは欠伸をして伸びをした
「お風呂、借りても大丈夫ですか?」
「此処は今日からお前の家なんだから借りるわけじゃねぇよ。風呂は廊下の突き当たりを左だ。悪いが今日は俺の洗髪料使ってくれ」
俺がそう言うとAはありがとうございます、と礼をして俺の指差した方に歩いて行った
俺の前を通り過ぎるときふわりとAの香りが吹き抜けた
少しアルコールの匂いも混じったそれは、酒以上に俺の心を酔わせた
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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黒崎雪兎(プロフ) - 千一夜の方も読ませていただいております。どの作品もとても面白いです。これからも応援しています。とても素晴らしい作品をどうもありがとうございます! (2017年4月8日 15時) (レス) id: ca4c1fbb9e (このIDを非表示/違反報告)
信乃☆(プロフ) - 天さんさん» そこまで言って頂けるとは……!本当に作者冥利に尽きるというものですね!!そういったコメントを頂けるとドン引きどころかむしろ私がテンション上げまくってドン引きされそうです……w本当にこんな素晴らしいコメントを頂きありがとうございました! (2016年12月28日 15時) (レス) id: 6e49df737f (このIDを非表示/違反報告)
天さん - 評価1票だけじゃ足りません!なんて書けばいいか分からなくなるほど叫びました!本当に、この作品に出会えて良かったです…ありがとうございました!もっともっとこの作品について語りたいですが、ドン引き間違いなしなので、最後に、本当にありがとうございました! (2016年12月28日 13時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
信乃☆(プロフ) - 莉猫さん» ありがとうございます!リクエストも受け付けておりますので何かご希望があれば是非リクエストして下さいね! (2016年12月18日 1時) (レス) id: 6e49df737f (このIDを非表示/違反報告)
莉猫(プロフ) - すごく良かったです!とても微笑ましく、ロマンティックなお話でした! (2016年12月18日 0時) (レス) id: 7c2539bb5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:信乃☆ | 作成日時:2016年12月1日 6時