１０話 ページ12
ハル視点
A様の、小さな手が僕の両頬に触れた。
…え。
少しの間見つめ合って、僕はふと思った。
なんか、違う。
僕の思ってた子どもじゃない。
酷く大人びた顔つきで、無表情。
そういえば、これまでに一言も発していない。
本当に、5歳…？
その時だ。
A様が、笑った。
それはチカチカして、眩しくて。
自慢気な顔だった。
まるで宝物を自慢しているような。
…あぁ、この子は、僕が守り抜きたい。
初めて、そう思えた。
この笑顔を、もう一度見たいから。
僕は、ボディーガードに選ばれた。
他の同僚たちは、何でアイツが…という目線を僕に向けていた。
もう一人選ばれたのは、綺麗な女性だった。
へぇ、女性なんて居たんだ。
『これから、よろしくね。二人共。』
ハル「…って言うのがー、僕とお嬢の出会い♡」
あの時からあんまり変わってないよね〜、お嬢も僕も。
今も変わらず、僕はあの笑顔が好き。
アキ「じゃあ、次は私ですね。」
アキ視点
私はこの性別が嫌いでした。
性別が嫌いというより、性差別が嫌いでした。
女だから、女のくせに。
そんなことばかり、言われてきました。
それでも、私は証明したいです。
女でも、人を守れると。
しかし、きっと選ばれないでしょう。
他に、私よりももっと強い人がいるからです。
体格差というのは、簡単には埋められません。
悔しいものです。
A様が、到着したようです。
私がここで選ばれなければ、殺されることでしょう。
私は、一層緊張感を高めました。
私は序盤の方で、見定められます。
50人もの人間が、一列に並んでいるのです。
…あ。
A様は、当主と口論をしていました。
当主は感情的に、A様はそれをあしらうように。
普通の…5歳の子どもに、そんなことができるものなのでしょうか。
A様は、ゆっくりと見定めます。
まるで心の奥底まで見透かすように。
『…。』
その時でした。
A様が、ふにゃ、と笑ったのです。
嬉しそうな、年相応の笑顔でした。
そして、小声でこう言ったのです。
『《1012番》、来てくれてありがとう。』
他の誰にも聞こえないような、か細い声でした。
もしかして、全員の名前を覚えているのでしょうか。
それは、5歳の子どもに出来ることでしょうか…。
そんなことを考えながら、私も無意識に笑っていたのです。
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まき(プロフ) - Miskさん» すみません！忘れていました😭教えてくださってありがとうございます！ (2022年11月8日 23時) (
レス) id: 5e22727ca0 (このIDを非表示/違反報告)
Misk(プロフ) - 突然失礼いたします。検索避けをかけていただくことってできませんでしょうか....? (2022年11月8日 10時) (レス) id: 414d51f1a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まき | 作成日時：2022年2月20日 21時
