ひったくり ページ10
2人が席に着きサングラスを外す。
「あー！あの時のかっこいいお兄さんだ！」
「本当ですね〜！」
「サングラスしてたから分からなかったぜ！」
近くに座っていた子供達が2人の顔を見て声を上げた。
「ん？ああ、あん時の『メガネの坊主とその仲間達』」
子供達を見た津田さんは思い当たる事があるらしい。
「少年探偵団です！」
「そういやんな事言ってたな」
「あの時？」
原さんも知らないようで津田さんに聞き返す。
「……1週間くらい前だっけ？そこのメガネの坊主がひったくりを追いかけてるに遭遇したんだよ」
『ひったくり？』
それを聞いてコナンくんがスケボーで追いかけている姿が思い浮かんだ。
コナン君ならやりそうだな……。
「で、何とか追い詰めたは良いものの、あのひったくりヤロー拳銃持ってやがったんだ」
『え!?大丈夫だったの？』
「あぁ、何とかな」
「お兄さんがね一瞬でやっつけちゃったの！」
「本当凄かったんだぜ！」
前のめりになった子供達が口々に「かっこよかった〜」と口にする。
『それにしてもコナン君、毎度の事ながら君はすぐ危ないことに首を突っ込む』
「そういう時はちゃんと大人に頼らないと」
「そうそう、もし津田ちゃんがいなかったらどうなっていたか…」
大人3人に言われコナンくんはばつが悪そうにしている。
「ご、ごめんなさい…」
「んな叱ってやるな。こいつのおかげでひったくり男を逮捕できたんだからな。しかもそいつはこの前のコンビニ強盗の犯人だった。まさに一石二鳥ってやつだ」
「……それはお手柄だったね｣
安室さんの言葉に子供達が目を輝かせる。
「なんたって」
「俺たち」
『少年探偵団』
歩美ちゃん･光彦くん･元太くんの声が重なる。
「だからね！」
「……なんでおめーらが威張ってんだよ」
コナンくんがジトーっと3人を見る。
『ふふっ』
その光景に思わず笑みがこぼれる。
「ん？そういや、津田ちゃん銃持ってる相手に生身で突っ込んで行ったの？」
あれ？そういえば……
『本当だ。聞き逃すところだった』
「いや、そこは聞き逃がしとけよ」
『それは無理でしょ』
「……そんな事よりあのスケボーすげーな。スピードが桁違いだったじゃねーか」
津田さんがあからさまに話をそらす。
「ん？まぁね。頼れる博士の探偵道具だからね」
「他にも博士が作ってくれたものいっぱいあるんだよ！」
歩美ちゃんがそう言って探偵団バッチを誇らしげに見せる。
「まじかよ……すげーな！」
その後も博士の道具の話で盛り上がっていた。
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作者名：エスポワール | 作成日時：2023年5月30日 21時
