1.興味 ページ2
浬雨 side
とある快晴の日のお昼時
生徒たちの声が響く廊下に面した資料室に悔し気な声が響く。
「っゔ〜......取れねぇ......」
高等部3年、小野雲 浬雨。現在自分の身長と格闘中である。
普通の教室や教科ごとの教室の棚は比較的小さく、手を伸ばしやすい場所に必要なものがあるが
資料室の棚はかなりの高さの差があり、基本的に生徒が漁る場所ではない。そして更に棚の上の方となるとそこそこの高身長じゃないと取れる場所ではないのだ。
そして更に彼、浬雨には大きな欠点である問題点があった。
(��159cm�瓩琉嫦魯�......！)
そう、異常なほどに低身長なのである。
安全性を考慮された控えめな大きさの脚立に立ち、これでもかという程つま先立ちをしている姿は傍から見れば滑稽以外の何物でもない。
「くっそ......届かね......ｯお！？」
半ば意地を張りながらも、届く筈の無い手をグッと伸ばしながら唸っていると不意に後ろから何者かの手が伸びた。
そして浬雨が手を伸ばしていた先の物をいとも容易く手に取ったのだ。
もちろん突拍子も無かった事に驚き、思わず浬雨は声を上げて勢い良く後ろを振り返ると茶色...というよりオレンジ色寄りのの髪の男が居た。
そいつと目が合ったと思うと同時に
「取ろうとしてたの、これだよね？どーぞ。」
そう言い、少しぶっきらぼうに差し出された手には、俺が全力で取ろうとしていた資料が乗せられていた。
わざわざ取ってくれたのか...
「あ、あぁ......」
それを受け取り「ありがとう」、そう言おうとしたが
受け取ったのを確認するとそれすら聞かずにそいつは直ぐにくるりと背を向け、資料室から出ていってしまった。
(......去るの早くね？え”、お礼とかいらないタイプの人？)
少し困惑したが、少し考えるともういいや。と思い自分も資料室を出る。だが数歩歩いた廊下のど真ん中で少し立ち止まった。
(いや...でもなんか若干あいつに興味が湧いた...というか面白そうだな。でも見知った顔でもなかったから1年か2年なのか...？)
「誰かに聞くかぁ......他学年の事知ってる奴って誰か居たっけ......」
別にそこまで執着して探す必要は個人的に無いのだが、お礼を建前として話してみたいと思ったのだ。
すぐに見つかると良いんだが...
そう思い自分の教室へとまた歩みを進めた。
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