第六話 年齢 ページ8
坂口安吾を散々困らせた後、少しすると異能特務課の監視カメラを誰もいないループ映像にしているのがバレた。
『流石、深夜だというのに気付くのが早い。』
素直にそう誉めると「仕事を増やさないでくれません？」と咎められてしまった。
現在はとても清々しい朝だ。
当然、深夜帯で何処にも寝る場所が無かった為、私も安吾も徹夜明けである。
私のことを異能特務課に知らせて呉れたらしく、特務課をうろついて居ても誰にも何も言われない。
「…Aさん、綾辻探偵事務所へ行きますよ。」
『おや、もう行くのかい？』
「えぇ、伺う許可“は”貰いました。」
『其れは…私の処遇に付いては何も伝えて無いということかい？』
思わず先程歩き出した足を止めそうになるが、安吾に対し、顔を引き攣らせながら聞いた。
「どうせ電話越しに伝えても断られるだけかと思いましてね。」
『…一理あるな。』
あの探偵のことだ、断る。の一言で一刀両断されてしまうだろう。
いきなり知らない人が同じ事務所に住むというのだ、考えるまでもない。
『…上階を使わせて貰うだけ、と言っても断られそうだ。』
珍しく私は溜息を吐き、安吾の車へと乗る。
「…まだ僕は貴女に上階があるとすら伝えて無いんですけどね。」
そう言いながら、安吾も運転席へと乗り込んだ。
何故知っている、と聞いても真面な返答が返ってこないことはこの数年で分かり切っているのだ。
正直説明しても、思考が追い付かないだろう、そう思って私は答えない。
安吾もこうして理解して呉れているのだから有難い限りだ。
『14歳…か。』
「どうしたんです？自身の年齢に疑問を持って。」
安吾は運転をしながら、こちらに尋ねる。
『…随分餓鬼だ、年齢を詐称したいくらいにはな。』
私はあまり自身の年齢が好きじゃない。
「……実際、詐称されているんじゃないかと思っているのはこっちなんですが。」
困った顔をしている横顔を見て、ふふ、と笑いが込み上げる。
『君のその困った顔を見れるなら、この年齢も悪くないかも知れないな。』
「……本当に貴女は何歳なんだか。」
『無論、14歳だが…。この際、年齢不詳にして今後関わる人物をすべて困らせてやるのも良いな。』
彼女の口が弧を描く、とても儚いその笑い方は14歳とは誰も思わないだろう。
彼女の年齢はもしかしたら自分よりも上かも知れない、安吾にそう思わせるほど彼女は大人だった。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ｳﾘｬさん» コメントありがとうございます！面白いと言って下さりとても嬉しいです…！モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…！ (9月4日 17時) (
レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ｳﾘｬ - めっちゃ面白いです！！！しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(？)しました。有難う御座います！！！ (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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