第四話 監視 ページ6
『性格は異能特務課局長補佐から聞いたことがあるさ。』
何故局長補佐と接触をしたことがあるのかと疑問に思うが、彼女のことだからと思うと余り気にならなかった。それ程彼女は異質なのである。
「分かりました。貴女は綾辻探偵事務所で同じく特一級異能力者として、共に監視されます。」
『流石、話が分かるじゃあないか。』
彼女は満足そうにまた笑う。
「勿論、実際貴女の監視はしませんよ。事務所内に配置されている監視カメラには映るでしょうが行動に制限は掛けない為、自由に行動してくれてかまいません。ですが……表向きは監視とさせて頂くので目立った行動は控えるように。」
『特一級異能力者なのにいいのかい?』
少女は珍しく目を丸くした。
「今迄の行動を見て危険性がないと判断しました。ですが、もし異能力によって途轍もない問題を起こした場合は、綾辻先生と同じ対応をさせていただきます。」
『成程…信頼されていることが分かって安心したよ。』
「…Aさんは何故僕とまだ関わってくれているんですか。」
まだ、織田作之助という人物が亡くなってから日は浅い。
大切な友人を亡くした原因の一つである坂口安吾と何故まだ関わっているのか、本人は理解しかねなかった。
『…何莫迦らしいことを言っているんだ?君らしくもない。』
「…それは一体どういう意味ですか。」
『君は任務を果たしただけだ、なぜ君に怒らなければならないのか私には意味が分からない。』
『私の中ではそういう運命だった、で片づけてしまっている。不謹慎とも、心が無いとも言えるだろう。』
ゆっくりと彼女は語る。
『────無論、織田作が死んでいればの話だが。』
「…は?」
理解が追い付かなかった。
真っ白で何も考えられない頭が、揺れるような感覚がある。
『この天才が、織田作の死を読めないとでも?』
そう言って目の前の彼女は一つのメモを投げ、それは坂口安吾の机の上に落ちた。
メモを取るとそれは住所のようだった、この場所は確か────海に接している町。
『忙しいだろうが、手紙の一つや二つ送ってやれ。物も送るのならば…食べ物だと子供たちが喜ぶだろうな。』
「生きているんですか…?」
か細いその言葉を聞くと、彼女はフッと笑って口を開く。
『あぁ、織田作と子供たちは無事に扶けた。』
「…そうですか。」
その言葉を聞くと、凡ての荷が下りたかのように───心の底から安心しきった笑顔を浮かべた。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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