第三十八話 約束 ページ40
「其れって、本当かい……?」
その音の正体は太宰だった。
目を見開き、驚いた表情で此方に訊ねた。
「そ、そうですけど……」
物凄い剣幕に押されながらも、彼は答えた。
「人を吊るすような拷問紛いな事をして笑って、天才だと自称するAちゃんって子は、一人しか知らないのだけれど……」
「────その子はAA、であってるかい?」
「ああ!確かにそう名乗っていた気がします!」
思い出したかのように谷崎は答えた。
「太宰も知っているのか。Aちゃんの事。」
「……ええ。乱歩さんも真逆、御存じだったとは……」
「甘味処で一時期会っていた事がある、だけど二年前、彼女とはそれっきりだ。」
そう説明すると、太宰は納得した。
「……Aちゃんとは私も二年前から会っていないです。彼女は、二年前に行方を晦ますと云って、皆には死んだと伝えてくれと伝言を頼まれていたんですが、真逆、まだ生きていたなんて……」
「あ。」
谷崎は気付いた。吊るされていた時に……彼女は或ることを云っていたと。
《『どうせ彼奴のジサツ
「ジサツ嗜癖?まるでA君のようだな。」
『彼奴と一緒にしないで貰いたい。其れに、二年前に殺してくれと言ってから一度もジサツをしていない……私は二年後に君に殺して貰えると信じて待っているんだよ。』
「…心配せずとも約束の二年後────君を殺す。」
『其れは重畳。二年も一緒に居て、親近感を覚え殺せなくなった…となると困るからな。』》
「…………彼女は、二年後……殺される?」
谷崎はそう呟くと、其れを聞いた太宰の眉に皺が寄る。
「其れは、如何いう意味だい?」
「……あの人は、死にたがっていたんです────殺してくれと約束を、綾辻行人という探偵に結び付けていて……二年前から其の約束があったようで。二年後には殺されると。」
太宰は考える。何故その人物じゃないと駄目なのかと……。
少しすると太宰は口を開いた。
「その男に異能力は……?」
「えっと、確かあった筈です……待って下さい、今メモを……」
谷崎は急いでポケットから出してメモを見る。
「綾辻行人の異能力は────《another》…殺人事件の犯人を見抜くと“必ず犯人が事故死する”」
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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