第三十三話 誕生日 ページ35
「矢張り……蘇芳堂事件の時、貴様を殺しておくべきだった。」
「不可能じゃよ。君の異能……《犯人を事故死させる能力》では、儂を捉えれぬ。」
「なぜなら儂は、何の罪もおかさぬからじゃ。これまでも、これからも……」
吐き出すような語尾に力を入れて一つ一つ区切るようにはっきりとしゃべる喋り方だ。
強調しているような、そんな喋り方。
「……矢張り俺の誕生日は最悪だ。これだから誕生日は嫌いなんだ。」
「知っておる」
「そもそも、なぜ誕生日を祝う？この世の誰も、誕生させてくれと頼んで生まれた者は居ない。」
「それが大衆じゃ。大いなる思考放棄。知っておろう。」
「ああ。だが……そうでない者もいる。」
そう云って綾辻行人は笑うが、京極夏彦は理解が出来ていないようだ。
「彼女は己の人生が大事だと云った。死が喉元まで迫った時に。」
「思考手順としては二流だが、その向こう見ずな愚かさは、俺やお前にはないものだ。」
「それで思った。お前を打ち砕くとしたら、賢さだけでは足りん……磨いだ水晶如き愚かさが必要ではないかと────。」
云い終わった瞬間。
機械で制御されていて、開かない筈の扉が勢いよく開き、辻村深月は京極を取り押さえた。
その後ろからゆっくりとAが出てくる。
「京極！全部聞かせて貰った！お前を逮捕する！」
「くはは……なぜ君達が此処に？」
「君等は鎖で繋がれていて、更にこの施設の制御も儂が引き継いだ筈じゃが……」
「お前の言葉を参考にした。敵の造ったルールに従うばかりでは決して敵を超えられない……だろう？」
「──それでお嬢さん達、と云うわけか……」
「ああ。此処に来る前。お前が隠した拳銃を探し出し、彼女に返した。後は其れで鎖を破壊し、後方に潜ませた。」
「扉を制御システムで閉じられたとき、一時は如何しようかと思ったがな。」
綾辻行人はチラリとAを見る。
『？……私を誰だと思って居るんだ。』
『────私は天才だぞ。たかが扉の制御システムのハッキングさえ出来なくて如何する？』
手に持ったスマホをチラつかせ、やれやれと溜息を吐く。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ｳﾘｬさん» コメントありがとうございます！面白いと言って下さりとても嬉しいです…！モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…！ (9月4日 17時) (
レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ｳﾘｬ - めっちゃ面白いです！！！しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(？)しました。有難う御座います！！！ (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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