第二話 予言 ページ4
あの坂口安吾が頭を悩ませている理由がもう一つある。
────彼女の異能が分からないのだ。
異能を知らないのに特一級異能力者にしろとは幾ら何でも無理がある。
『異能くらい教えるが?』
「…今なんと?」
彼女が発する言葉一つ一つは、まるで爆弾のような破壊力がある。
『別に君に知られていても何のデメリットはない。』
それに、と彼女は言葉を続けた。
『経歴を消してくれだの、特一級異能者しろだの、四年程保護しろだの、一方的な条件を押し付けるだけだと思っていたのか?ちゃんと見返りもあるさ。』
「…ちゃんと、その条件に見合う見返りなんですよね?」
そう尋ねると彼女はふふん、と胸に手を置きニヤリと笑う。
『私は天才だ。その質問に対し、これ以上の返答は必要か?』
「…いえ、十分ですよ。」
安吾はその言葉を聞いて、先ほどの表情とは一変し安堵の微笑を漏らした。
『私は異能特務課に対し、私の異能である《星の王子さま》の詳細と…この天才的な頭脳、知恵を貸してやる。
────君たちにとってもこの神のお告げと呼ばれた頭脳が欲しいだろう?』
『期間は保護されているその時までだ、その期間中は何時でも異能特務課の飼い犬となってやる。』
と言っても私が異能特務課に対し、知恵を貸してやっているということは
彼女の神のお告げと呼ばれた“それ”は一度も予言を外すことはなく、誰もが喉から手が出るほど欲しいとしていたものだったからだ。
『まだ見返りは必要か?』
どこか確信的なその笑みを彼女は浮かべていた。
「いえ、十分過ぎて御釣りが来ますよ。」
寧ろ、どこか困った顔のまま笑みを見せると、満足そうに彼女は答えた。
『そうか、それならよかった!』
きっと今頃、彼女と太宰君が抜けたポートマフィアは大騒ぎだろう。
まだ14歳の少女と18歳の青年に踊らされているあの組織にはほんの少し同情する。
ふと、ある考えが脳裏に過ぎった。
もし彼女が天才と呼べる頭脳に目を付けられなければ、普通の学生としてその日常を過ごしていたのだろうか…
『──何を考えているかさっぱりだが、私はこの日常が楽しいと思っているよ。』
この世の全てを見通している様な笑みを浮かべる彼女。
坂口安吾もまた、彼女の手のひらで踊らされているのだ。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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