第二十五話 瓦斯 ページ27
「────起きろ…A君。」
…頭が痛い、そう感じると眉間に皺が寄る。
『……嗚呼、ハロタンによる血圧低下か。』
そう云いながら目を開けた。
「……症状はどうだ。」
『軽い眩暈、頭痛、倦怠感だけだよ。』
「だ、大丈夫ですか…?」
其の質問に対し頷いて返答をする……そして次に状況を把握した。
この部屋には私と綾辻先生、辻村さんのみ…如何やら、私が一番最後に起きたのが判る。
そして気付きたくはなかったが、自身が動くごとに金属の擦る音が聞こえる──。
辻村さんも同じようでこの鎖は柱の金具まで繋がっていて動けない。
『之は……随分趣味の悪い首輪だな。』
「綾辻先生と同じこと云ってる……。」
ボソッと隣で呟いているのが聞こえ、そうなのか?と綾辻先生を見るが、知らん振りされる。
「《第二問》」
───またあの声がした。
「《宇宙探検家ガリレオが、ある星に降り立ち、人口調査を始めた。
その星には王侯の都、高貴の都、上者の都、平民の都、貧者の都がある。
各々の都は、以下のルールで人口が規制されていた。
1。各都の人口数は、その数字の約数のうち、自分自身を除いたものの和が人口数と等しくなる
2。上位の都にいくほど人口が少ない
このとき、この星にいる異星人は合計何人か》」
「ほら問題ですよ、綾辻先生!Aさん!これを解けばきっと鎖が外れます!だから……」
綾辻先生は冷徹な表情をしたまま無言だ……私も横で考える。
「……先生?Aさん?」
不安な顔をして名前を呼ぶ辻村さん。
「これは難問だぞ。」
『…嗚呼、本当に如何しようか。』
其の言葉に対し、相槌を打った
「自分自身を除いた約数の和が自分自身に等しくなる数。これを完全数という。」
『例えば、6の約数は1,2,3,6。そして1+2+3=6。故に6は完全数だ。』
「同様の計算をしていくと、次に小さい完全数は28。」
「故に王侯の都は人口6人、高貴の都は人口28人と確定できる。」
「おおお……何かよく判らないけど、凄いです。その調子でぱぱぱっと……」
辻村さんが呑気にそんなことを云う。
『残念ながら順調なのは此処までだよ。』
「え……?」
『其処からも床の通気口が見えるだろう?』
「これは……床に何か、白い気体が……。真逆、また
「近づくな!」
綾辻先生の大声なんて珍しい……まぁ、注意しない筈が無いんだが。
彼女はそう思いながら、話を聞く。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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