第二十四話 麻酔薬 ページ26
「《まず最初に、君たちが一番疑問に感じていることに回答したい。礼儀としてね。》」
目の前の青年が淡々と述べていく。
「《何故僕が君たちを招いたか?隠しても仕方がない。理由はね……》」
「《……雑談をするためだ。》」
「……は?」
辻村さんが声を上げた。
別に想定内だ。綾辻先生も黙って話を聞いている。
「《そう怖い顔をすることは無い。僕は真実を云っている。真実は人の感情をいろんな場所に連れて行く。》」
「《そうだな……例えば、君達は神は実在すると思うかい?》」
設計師は突拍子もないことを言い出した。
「《僕はいると思う……証拠は無数に存在する。科学的に考えても。》」
「《太古から存在しながらも、体温で最適に機能する体内酵素群。自然淘汰では説明のつかない多発的な同時進化の痕跡。》」
「《建築家が家をデザインするように、生命の図面を引いた誰かがいる。そう考えなくては説明不能な事象が多すぎる。》」
その時────鼻先に漂ってくる甘い匂いがした。
「綾辻先生。何か、匂いがしませんか?」
「ああ。……俺の煙管の火が、消えかかっている。」
『成程……この匂いはハロタンか。』
「それって、まさか……!」
『お察しの通り、吸入麻酔薬の一種だよ。』
手も何も出ないこの状況に失笑する。
この中で一番背の低い私は随分と吸い込んでしまったらしい、立っているのがやっとだ。
「Aさん!」
辻村さんがそう呼ぶのが聞こえる。
「やってくれたな、
「《この社会というものの不完全さを、僕が凡て取り除く。それには一度爆破解体するしかない。》」
「《どうか世界よ、安らかに。》」
────其の言葉を最後に私は意識を失う。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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