検索窓
今日:52 hit、昨日:21 hit、合計:42,738 hit

第二十四話 麻酔薬 ページ26

「《まず最初に、君たちが一番疑問に感じていることに回答したい。礼儀としてね。》」



目の前の青年が淡々と述べていく。




「《何故僕が君たちを招いたか?隠しても仕方がない。理由はね……》」



「《……雑談をするためだ。》」






「……は?」


辻村さんが声を上げた。




別に想定内だ。綾辻先生も黙って話を聞いている。


「《そう怖い顔をすることは無い。僕は真実を云っている。真実は人の感情をいろんな場所に連れて行く。》」



「《そうだな……例えば、君達は神は実在すると思うかい?》」



設計師は突拍子もないことを言い出した。




「《僕はいると思う……証拠は無数に存在する。科学的に考えても。》」




「《太古から存在しながらも、体温で最適に機能する体内酵素群。自然淘汰では説明のつかない多発的な同時進化の痕跡。》」


「《建築家が家をデザインするように、生命の図面を引いた誰かがいる。そう考えなくては説明不能な事象が多すぎる。》」




その時────鼻先に漂ってくる甘い匂いがした。




「綾辻先生。何か、匂いがしませんか?」


「ああ。……俺の煙管の火が、消えかかっている。」




『成程……この匂いはハロタンか。』



「それって、まさか……!」

『お察しの通り、吸入麻酔薬の一種だよ。』




手も何も出ないこの状況に失笑する。
この中で一番背の低い私は随分と吸い込んでしまったらしい、立っているのがやっとだ。



「Aさん!」


辻村さんがそう呼ぶのが聞こえる。




「やってくれたな、設計師(アーキテクト)。」






「《この社会というものの不完全さを、僕が凡て取り除く。それには一度爆破解体するしかない。》」


「《どうか世界よ、安らかに。》」




────其の言葉を最後に私は意識を失う。

第二十五話 瓦斯→←第二十三話 仮定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
69人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト外伝 , 綾辻行人   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蒼月 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年8月26日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。