第二十三話 仮定 ページ25
「考えていたのは、このまま敵のルールに従い、問題を律儀に答えていくことが最良が否か、だ。」
「敵の造ったルールに従うばかりでは、決して敵を超えられんからのう。」
相手の裏をかく。
よく言われている言葉だが、こういう場面では尤も真理を突いていると云えるだろう。
『でも見たところ、今は扉を開く以外に奥に進む方法は無さそうだ。』
「壁は頑強、扉を強硬に開く手段もなし、流石は建築家じゃのう。」
「携帯電話の電波も妨害されている……となれば、答えるしかないか。」
綾辻先生はそう云って直ぐに口を開いた。
「昼はAとCが戦い、Cが勝利。」
京極夏彦さんも続いて答えを述べる。
「夜はBとDが戦い、Dの勝利じゃ。」
「《────賢者に道は開かれん。》」
扉が開いた。当たり前だが正解の様だ。
「では行くか」其の言葉で先に進もうとするが、谷崎君がそれを呼び止める。
「え、えっ?答えの解説とかして頂けないんですか?」
「ん?何故だ。」
もはや解説する気が一切ないことが判る返事だ。
その後の会話も聞くが、「何故俺たちがそんな事をせねばならん。」という声が聞こえてくる──溜息を吐いた。
『仮定と場合分けで可能性を消せ。自分の対戦相手についてだけという条件があっただろう。』
「仮定と場合分け……?」
しっくり来ない谷崎君の為に、態々丁寧に解説をする。
『……Cを夜戦だと仮定しろ、Dは昼でも夜でもDは夜戦と答えるだろ?だが、実際はそうじゃない。つまりこの仮定は否定される。』
『つまり、Cは昼戦だ。』
続けて説明をしようとしたが、私が喋る予定だった言葉は綾辻先生により奪われた。
「同様に、Dが夜戦と仮定する。するとAが夜戦だろうが昼戦だろうが、DはAは夜戦と答えるだろう。」
「実際その通りになっているので、Dは夜戦という仮定は正しい。」
「まあ、このようにして、仮定を置いて実際と比較するわけじゃな。残りの半分は暇な時にでも解いてみるとよい。」
解説が終わったが、辻村さんは「はぁ……成程……」と判っていないのか絶妙な反応をした。
「何を呆けている。この程度の論理問題、俺とA君、京極先生を相手とするには簡単すぎる位だぞ。」
「まあ、知恵比べは始まったばかり、軽く小手調べ、といった所じゃろう。」
「《──その通り。》」
「《つまらない映像からの挨拶で申し訳ない。》」
目の前に人が映し出された。
────若い青年……設計師だ。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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