第二十一話 真逆 ページ23
「まあ結局、綾辻先生、Aさんの推理と私の尋問で貴方の正体は見破られた訳ですが!ふっふっふ!」
……私と綾辻先生はその言葉を聞くと、呆れて声も出なかった。
「ん?お二人とも、何か異論でも?」
「…いや、少し見直しただけだ。」
「えっ?そ、そうですか?えへへ。」
綾辻先生にそう言われ、何故か照れている。
『嗚呼。君の神経の太さは尋常ではない。』
「約束した7時間以内の転属まであと2時間程だが、之は並の厭がらせでは間に合わんな。」
「取り敢えず……次に過去を捏造したら、その辺の木に縛り付け、二人だけで帰る。」
「非常食買っとかなきゃ……。」
「ポジティブ……!」
恐らく谷崎君が突っ込むのはそこでは無くて、縛り付けられる前提についてだが……突っ込む気も失せた。
綾辻先生も私と同じように、只々彼女を見つめるだけだった。
「綾辻君は相変わらず、嫌いな人間はゴミクズを見るような目で見るのう。」
『嫌いな人間……?』
其の言葉を口に出すつもりはなかったが、思わず口から言葉が零れた。
「何が言いたい。」と、綾辻先生は私を見つめるが、否、何でも無い。と返す。
「まあ各々気にするな。結果よければ、じゃ。現にこうして、儂と綾辻君による共同戦線が成ったのじゃからな。」
「…ああ。其れに今回はA君も居ることだしな。」
そう云うと綾辻先生は視線をこちらに走らせた。
真逆呼ばれると思って居なかった為、一瞬驚くが直ぐに綾辻先生の方を見て言葉を放つ。
『──無論、私は天才だからな!』
堂々とした笑みで、この世の全てを掌握しているかのような、そんな顔をして笑った。
綾辻先生はその様子を見て何時もの冷徹な顔をしている。
京極夏彦さんも私を見ているが、其れはまるで品定めをされているような感覚だった。
天才は思う───。
何故、綾辻先生は今私の名を呼んだのだろうか……態々此方に視線を走らせ、反応を窺って居る様な、そんな目で。
────真逆な、彼女は思考を放棄した。
今その真意が判ってしまうと、この後、私の脳は使い物にならないという勘が働いたからだ。
「却説、不俱戴天のテロリストよ。招きに応じ我等は集うた。扉を開かれよ。」
「《……ようこそ》」
その声が聞こえると、扉が自動的に開いた。
私達は歩いて其の扉の向こうへ行き、館の中へ招かれたのだった────。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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