第十九話 戯言 ページ21
「説明をする前に……そこで突っ立ている君の名は何という?」
その目は私を捉え、視線がぶつかった。
『……失敬、名乗っていませんでしたね。私の名前はAA…二年程前から綾辻先生と共に監視されています。』
「……そうか。情報不足の様だった、巻き込んでしまって済まないのう。」
『いえ、余り私は表に出ていませんので、知らなくても当然です。』
「A君が敬語だなんて、明日は槍でも降るか?」と、隣からボソッと戯言が聞こえてきたが、今は無視だ。
情報不足、それも当たり前だ…知っている方が可笑しい。
────私は綾辻先生と共に依頼へと赴くのはこれが初めてだったからだ。
其れは、異能力を今まで使わなかった理由が容易に分かる一言だ。
何故この天才である私が行かないのか…、理由はひとつ。
ポートマフィアでは私は死んだことになっているからだ。
覚えているか判らないが二年前に太宰に対し、そう云う様に伝えた。
ポートマフィアを抜けた後にきっと、手紙やらでそのことを報告しただろう。
だから私は姿を現す訳には行かなかったが、逆に何故、今となって依頼へ赴くようになったのか…、────之には
《『綾辻先生、私も一緒に行っていいかい?』
そう尋ねると、珍しく綾辻先生の目が見開いたのが見えた。
「……驚いたな。今迄外に出たくない引き籠もりだと思っていたが…。」
引き籠もりとは心外だな。そう思うが話が長くなるので今だけは認めておく。
『引き籠もりも偶には外に出たくなる、2年だぞ??2年も。』
「……確かにそうだな、依頼人の待ち合わせ場所は歩いて行ける処にある、いい運動になるだろう。」》
……2年も一切出ていなかったら、少しは恋しくなる、今迄自由に暮らしていたんだからな。
ポートマフィアも、二年も私が行方を晦ませたなら一々私を探すような真似はしないだろう。
其れに────そろそろ私も動かなくちゃいけない、簡単な準備運動みたいな物だ。
そう考えている間にいつの間にか説明は終わっていた。
簡単な纏めをしよう。
今回の依頼は政府からの依頼でもあった。
軍警情報部からの勅令であり、内容はとある怪物を退治せよ、とのことだ。
京極夏彦さんと綾辻先生はその怪物を前から知っていたようだ、
二人の声は、同じ言葉を同時に発した。
その怪物の名は────
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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