第十六話 彼奴 ページ18
「兎に角、君は不合格だ。この青年の正体も見抜けないようでは、いずれにせよこの先の仕事は続けられん。」
それに対し、監視される標的が監視者を選り好みするなんて矛盾してます！と今更そこについて追及をする。
また、口論が始まった。
何故か口論ごとに谷垣理一郎が押されて、目が回りそうになっていた。
如何やら彼女は、綾辻先生が未だ正体を見抜いていないと思っていたらしい。
『綾辻先生の知識量と計算の速さはこの天才をも超える。私が見抜いていて、綾辻先生が見抜いていないことは無いだろう。』
「……え？」
そう驚く彼女はきっと安吾に私の天才さでも聞かされたのだろうか。
私は未来の予測が得意なだけで、こういう謎解きは綾辻先生の方が断然上だ。
「ボクはしがない雑貨屋の……」
綾辻先生が見つめると、はい黙ります、と黙る。君も懲りないなぁ。
「A君。答え合わせだ。」
『……私かい？』
「この件については君の方が詳しいだろう？」
────冷や汗が垂れた。
『……嗚呼、調べたのか。』
「君の友人関係は少なくてね、実に調べやすかったよ。」
太宰治の経歴は真っ白な筈だ、調べようがない。
ということは、昔、福沢諭吉さんと江戸川乱歩さんの交友関係からだろう。
『判った、此奴については私が話そうじゃないか。』
ゆっくりと谷垣理一郎、いや、谷崎潤一郎君の前に立つ。
『────太宰治は元気にしているかい？』
にっこりと語り掛けるとわずかに瞳孔が開いた。
『君の名前は谷崎潤一郎。ヨコハマの武装探偵社に所属する異能者だね。』
『君の異能力は細雪。空間に幻像を映し出す、視覚系の異能を使う。其の異能で姿を消して侵入した……違うかい？』
貼り付けた笑みで解説をしていると、「何故其れを……！」と問われた。
『実に簡単な答えだ。君の社長である福沢諭吉さん、そして江戸川乱歩さんとは友人で、太宰治とは腐れ縁の様なものさ。』
『どうせ彼奴のジサツ
「ジサツ嗜癖？まるでA君のようだな。」
綾辻先生がそう言葉を漏らすと、私は苦虫を噛み潰したような顔で云った。
『彼奴と一緒にしないで貰いたい。其れに、二年前に殺してくれと言ってから一度もジサツをしていない……私は二年後に君に殺して貰えると信じて待っているんだよ。』
─────彼女は大真面目に綾辻行人の目を見つめた。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ｳﾘｬさん» コメントありがとうございます！面白いと言って下さりとても嬉しいです…！モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…！ (9月4日 17時) (
レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ｳﾘｬ - めっちゃ面白いです！！！しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(？)しました。有難う御座います！！！ (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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