第十二話 辻村 ページ14
そんな悪魔の契約をしてから二年の月日が経った。
如何やら12月23日である今日、新たな監視役が来るらしい。
『こんな日に監視役を就ける局長補佐も人が悪い。』
「全くだ…然も招き入れていない客人も来るときた。」
不機嫌そうに薪を抱えている綾辻先生を見て、次にやる事の予想が付いた。
『運ぶの手伝おうかい?』
「そんなに量もない、君の手を借りるほどではないな。」
そうか、と返事をしてその様子を見守る。
中々解けなさそうな、丁寧に結ばれている縄を見て縛るのに慣れているのだろうか…と思った。
まぁ、何故上手いかは考える迄も無いだろう。
そんな時、人が此方に向かってくる気配を感じる。
『監視役が来たみたいだ、どうする?』
「如何するも何も無い、続けるが。」
当然だろうとでも云うかのように火を焚いた。
『…次に来る子は一筋縄ではいかない、之からは愉しくなるぞ。』
ニヤリと笑うが、予言か…と言っただけで余り気にも留めていない様子だった。
二年前なら調子が狂っていただろうが……この冷酷さにも慣れた。
『来る。』
そう言った瞬間、扉から声が聞こえる。
「綾辻先生?居るのでしょう?居留守を使っても無駄ですよ。」
「…入れ。」
綾辻先生が答えると、「失礼します。」と扉が開いた。
「綾辻先生!まずは聞きなさい!私が来たからには、決して──」
女の声が止まる。
当たり前だ、この光景を見ても冷静でいられるのは特務課では安吾位だろう。
「容疑者の拷問は俺の趣味のひとつだ。火加減はどうだ?」
「むぐぐ!むぐ、熱ひ!ひんぐむぐ!」
『熱いというのははっきり聞こえるが、他はさっぱりだな。』
茶髪の青年は
────真顔の綾辻先生の手によってだ。
「なんか人が天井から吊られて炙られてる──!?」
そう驚く青い髪の女性は、辻村深月。
初対面でこれはインパクトが強かったのか、彼女は驚きのあまり飛び上がり、ドア枠で頭を打った。
「な、なななな何ですかそれ」
彼女は同様の余り言語が崩壊してきている。
「そこで待っていろ。今忙しい。」
冷静に返す綾辻先生を見て、辻村さんには少し同情をするが今は此方が先だ。
「んぐむぐぐ!ぐむんぐ!」
『
十六歳の少女は純粋な笑みを浮かべ、青年に語り掛けた───。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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