第十話 妙案 ページ12
呆気に取られている綾辻先生を見て、揶揄いだったのだろうかと口を開こうとするが、安吾によりそれは封じられた。
「…メイドにしてもいいですが、彼女はレンジで卵を温めるほど料理も掃除も出来ません。」
こちらをちらりと見る安吾と目が合う。
『じゃあ冷蔵庫に入れられた卵は冷たいまま食べるのかい?』
間髪を入れずにそう尋ねると綾辻行人からの視線が刺さる、その表情は何を考えているのか、天才の頭脳を持っている私でさえも分からない。
「…嘘を付く程、其の子供をよく気に入っているようだな。」
安吾の表情が一瞬歪んだ。
────この勝負は負けだ。
『カマかけに反応しちゃだめだろう、安吾。』
普段から嘘を吐かないからこういう場面でバレるんだ、そう言って溜息を吐く。
「…ポートマフィアに居ただけはあるらしいな…流石、かの有名な予言者だ。」
『おや、綾辻先生にまでこの天才の名が知れ渡っているとは。』
予想内だ、彼は膨大な知識や計算の速さが売り見たいなモノ。動揺させボロを出すのを待っているらしい。
「それは異能力だと思っていたのだがな…」
『生憎だが私とは情報量が違う、落ち着いてパズルを作るように組み立てれば綾辻先生だって出来る筈さ。』
「予言者にそう言って貰えるとは、光栄だな。」
『綾辻先生にその名が知られて居ることも、天才の此方としては身に余る光栄だ。』
お互いニコニコと話しているが安吾は此の空気感を察し、黙ってその会話を聞く。
「…まぁ良い、メイドの件は忘れろ。」
『では条件はどうするんだ?』
そうだな…と煙を吐き、口を紡ぐ綾辻先生を見て、思わず頬が緩みそうになる。
「何か良い代替案を出したら、考えてやろう。」
『あぁ、其れならピッタリの案がある。』
にやりと笑うと、今までの経験からだろう、安吾が嫌な予感がすると冷や汗をかいた。
『────私の異能力を今後、貴方の為にも使うと誓おう。』
「ほう。」
綾辻先生は妙案だ、と思っているのが伝わるが、其れに反して、坂口安吾は頭を抱えた。
「その異能力は俺に見合うような異能だろうな?」
『勿論、私の異能はとても価値が高い。』
『私の此の異能力を巡って、戦争が起きるかも知れないな!』
もし世界に此の異能力を公開したら?
────そう思うと胸がドキドキしてしまう!
「(笑っているが、それが本当なのかすら僕には判らない。)」
今後の展開は天才である彼女にしか解らないのであった──。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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