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序章 逃亡 ページ1

「本当に良いのかい?」



───満月の夜。月明かりにより、共に歩く男女の人影が地面に映されていた。



『何がだ、具体的に言ってもらわないと返答に困る。』



「…私と一緒にポートマフィアを抜けた事についてさ。」


『あぁ。それなら別に、私は何とも思っていない。寧ろ誘ってくれたことに感謝している。』



その瞬間、男の足が止まり、不思議に思った女も足を止めた。



「感謝?……君が?」


そう言うと、呆けたようにキョトンとしている。
その様子を見て女は眉を顰め、また足を進めた。



『太宰、君は私のことを感謝のひとつも言えやしない人間だと思っていたのかい?』


「だって、君は私のことを毛嫌いしているからねぇ。」


太宰と呼ばれたその男は、なにやら考えるような素振りをする。



「もしかして、私の事を漸く好きになってくれたかい?Aちゃん!」

『…君は1度黙るということを覚えた方がいい。…私は唯、このままポートマフィアに居ては織田作の為にならないから抜けただけさ。』


Aちゃんと呼ばれた女は、深く溜息をつき、先程の感謝は取り消すべきか…?と頭を悩ませた。



「2人で次は何処へ行こうか。」

ふふ、と笑って嬉しそうにまた歩き始めるのを見て、直ぐ様『え?』と声を漏らした。


『私は"君と一緒に抜ける"とは言ったけれど、2人で行動する気は一切ないが。』


今度は太宰が「え?」と声を漏らす番になった。



『それに、私は君とは違ってこのまま姿を晦ますつもりさ。』

「晦ます?何処か行く宛てでもあるのかい?」


食い気味に聞くと、不快だ、とも言わんばかりに顔を顰める。


『…そんな所だ。念の為に言っておくが……着いてくるなよ。』


そう言うと、なんとも形容できない気の毒な顔をしているのが視界の端に映った。が、素知らぬ振りをして目の前に見える駅へと向かう。


『君は今後、またポートマフィアに関わると私の天才的頭脳が言っている、その時に私は死んだと伝えておいてくれ。』


一切振り返らずに言い、後ろに手を振る。

返事こそは帰ってこなかったが、きっと伝えてくれるだろう。


切符を買い、手に握り締め、電車へと乗る。



自ら天才と名乗るAはポートマフィア時代、未来予知と言っても過言ではないほど未来を当てた。

あまりの正確さに、それは天からのお告げだと言われ、異能力かと噂されるほどだった。



真相を知るものは数少ない。

これは、そんな天才的な少女の物語である──。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト外伝 , 綾辻行人   
作品ジャンル:アニメ
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼月 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年8月26日 12時

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