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「で、ぶっちゃけどうなの?あなた、御影くんのこと好きなわけ?」
突拍子もないことを聞かれて、Aは心臓が波打つのを覚える。それが、友人として好きかどうかを問われているわけではないのは分かった。
「えっと、玲王のことを……私が?」
「そうよ?はっきりしなさないよ、御影くん狙ってる子なんてそこら中にいるんだからさ」
「そりゃあ、好きか、って言われたら、幼馴染としては好きだけど……」
玲王に対する想いが明確な言葉には表せなくて、そんな曖昧な表現しか浮かばない。だが、その返答に満足したのか彼女は嬉々として手を叩いた。
「えー!付き合ってるわけじゃなかったの?!あ、ならさ、私の友達に紹介してやってくんない?御影くんのこと大好きでさぁ」
「あっ、そうなの?」
「どう?いい?紹介してやってくれる?」
息つく間もなく話は勝手に進められて、気づけば彼女の友人に玲王を紹介する流れになっていた。有無を言わせぬような圧迫を受けて、引き受ける以外の選択肢は与えられていないようにも感じる。Aは悩む暇さえなく、頷く他なかった。
「あー、うん……いいよ」
「ほんと?!ありがとう、Aさん!私は、マナ!今度はその子連れてくるからさ、御影くんによろしくね!」
「あ、うん、よろしく……?」
きっと、玲王は嫌がるだろうし、引き受けたくないと言うに違いない______と思う。けれど、こうして謝罪までして、名前まで教えてくれた女子生徒の想いを捨てることは出来なかった。
どうしよう、と不安に思った。もし、これでマナの友達と、玲王が上手くいってしまったら、Aはどうなってしまうのだろうか。
確実に、玲王の一番は自分ではなくなる。今だって玲王はみんなのものなのに、もっと彼が遠くへ行ってしまう。そんな気がして、追い詰められ始めた心境が焦燥感を煽る。
(これで、良かったんだよね……?)
そんな一抹の蟠りを抱えながらも、手を振るマナに何も言えずその姿を見送った。
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黄泉(プロフ) - 七星さん» はじめまして、コメントありがとうございます!またこのお話をお読みくださり、面白いとのお言葉までありがとうございました!🥳 わっかります、むしろ、彼にならどんな手を使っても奪われたいくらいですよね笑 どこかでご縁がありましたら、またお願いします! (2023年2月7日 23時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
七星 - とっても面白くて、一気に読んじゃいました.ᐟどんな手を使ってでも玲王くんなら許しちゃうかもです(笑) (2023年2月7日 22時) (レス) @page34 id: 0897eb2537 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 真昼さん» はじめまして、コメントありがとうございます🙇♀️続きが楽しみだと言って頂けてとても嬉しいです!あと少しで完結になると思いますので、どうぞもうしばらくお付き合いの程よろしくお願いしますm(__)m (2023年2月4日 11時) (レス) id: fe076a4b2d (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 続きが楽しみです! (2023年2月4日 10時) (レス) @page19 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄泉 | 作成日時:2023年1月28日 10時