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「_________A?」
「えっ、あ、ごめん!ぼうっとしてて……」

ふいに名前を呼ばれたような気がして、朧げだった意識がゆっくりと浮上し、やがて鮮明になった。
普段と変わらない景色が見渡せる屋上で、一人でぼんやりと空を眺めながらマナとの会話を思い返している隙に、玲王がいつの間にか隣にいたらしい。声をかけられるまで気づかなかったせいか、彼は訝しんでAを熟視している。

「今日、あの子と話してたよな?何か言われたのか?さっきからずっと上の空だしさ」
「あ、いや、そうだけど……そうじゃないっていうか」
「はー?どっちなんだよ、それ」

有耶無耶な濁し方をしたせいで、玲王の瞳に一層疑心の色が募る。

玲王のことを紹介してほしい、と言われたことを素直に打ち明けられたのなら苦労しないが、一筋縄ではいかなかった。誘導の仕方を間違えたら、きっと彼は断るに違いない。そうすれば、結果として約束したマナを裏切ることになり、根も歯もない噂を流されるのではないかと不安なのだ。だから、玲王には負い目を感じているが、今だけは嘘を吐くことを許して欲しかった。

「と、とにかく何かされたわけじゃないから大丈夫!それにその子マナっていうんだけど、友達になったから!」
「は?!友達?!」
「そ、そうそう!いつか玲王にも紹介したいなって思ってるんだけど、いい?」
「あーまあ、いいけど」

そこまで言うと、玲王はどこか納得したような顔をしてAの頬を優しく抓った。

「お前さぁ、そうやって頼まれたんだろ?」
「え?」
「俺のこと紹介しろって、言われたんじゃねーの?」

______どうして、バレてしまったのだろう。
Aは焦る気持ちを誤魔化しながら、頬を抓る玲王の指を払い除けるように握り締めた。

「違うし、玲王の自意識過剰!」
「わっかりやすいんだよ、Aは」
「だからぁ、違うってば」

互いに指先を握り合いながら攻防を繰り返していると、ふいに玲王が真摯な目で見つめてくる。
ドキリとして、握られた手を咄嗟に離そうとしたけれど、そうはさせてもらえなかった。そのまま絡んだ指先に力を込められて、玲王が男の人であるということを教えるような、圧倒的な力の差を見せつけられたような気がして、自然と胸が熱くなる。

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設定タグ:ブルーロック , 御影玲王 , ヤンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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黄泉(プロフ) - 七星さん» はじめまして、コメントありがとうございます!またこのお話をお読みくださり、面白いとのお言葉までありがとうございました!🥳 わっかります、むしろ、彼にならどんな手を使っても奪われたいくらいですよね笑 どこかでご縁がありましたら、またお願いします! (2023年2月7日 23時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
七星 - とっても面白くて、一気に読んじゃいました.ᐟどんな手を使ってでも玲王くんなら許しちゃうかもです(笑) (2023年2月7日 22時) (レス) @page34 id: 0897eb2537 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 真昼さん» はじめまして、コメントありがとうございます🙇‍♀️続きが楽しみだと言って頂けてとても嬉しいです!あと少しで完結になると思いますので、どうぞもうしばらくお付き合いの程よろしくお願いしますm(__)m (2023年2月4日 11時) (レス) id: fe076a4b2d (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 続きが楽しみです! (2023年2月4日 10時) (レス) @page19 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黄泉 | 作成日時:2023年1月28日 10時

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