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「秘密だ。ミステリアスな男の方が惹かれるだろ?」
「全然、あなたのこと何にも知らないんだもん」
「それはお互い様だ。お前も俺に秘密主義だからな」
「まあ、それは否定できないけど……」
「それに、こっちの方が俺たちには合ってる」
「ひぁ……っ、ちょっと、ミヒャ」
ミヒャエルが私の首筋に、ちゅ、と音を立てて口づける。熱い唇の感触を残した後、歯を立てられて柔く噛まれた。
「子猫ちゃん、あんまり詮索はしない方がいいぞ」
「なにが、子猫ちゃんよ」
「痛い目は見たくないだろ?」
「……そうね、私が悪かった。痛い目はもう懲り懲り」
これ以上聞くな、と言われているような気がした。踏み込むのならばお前とは終わりだ、と最後通牒を突きつけられたのだ。
私は悔しくも何も言えなくて、代わりにミヒャエルにキスを強請った。どんな関係でもいいから、彼を繋ぎ止めたいと思った。だから、今日も彼の言いなりになる。
私はもうずっと、男の人に踊らされてばかりの人生だった。振られる度に別の人に慰めを受けて、すぐに依存する。そうして何もかも失い辿り着いた先にあるのも、結局虚しい偽りの恋心だった。
「じゃあ、逆に何なら教えてくれる?」
「今日は随分と責めてくるな。構ってちゃんか?」
「気になるでしょ、頑なに言ってくれないんだから」
ミヒャエルにジッと見つめられて、私は思わず口籠る。
まずい、さすがにしつこく聞きすぎてしまっただろうか。
すぐに話題を変えようとしたけれど、ミヒャエルが楽しげに笑うので、その心配は杞憂に終わったのだと安堵した。
「なら、答えてやる代わりに、俺のしたいことに付き合ってくれ」
「いいけど、アブノーマルなやつとか、そういうのは私経験ないからね?」
「……お前、俺のことを何だと思っているんだ」
「あ、ソッチの話じゃなかった?」
「ソッチが希望ならいくらでも応えてやるが……Aは自分の価値を簡単に下げるな」
「別に、下げてはないけど」
それが、私の中での普通だった。価値を下げているというのなら、ミヒャエルと清純ではない付き合いをしているという事実だけで、もう既に手遅れだ。
ミヒャエルは何を思ってか、不満げな顔をしながら私の両頬を片手で掴み、柔らかさを堪能するようにぷにぷにと押し潰してくる。絶対に、寝起きよりもブサイクな顔になっていると思う。確信がある。
私は幻滅されたくなくて、咄嗟にその手を振り払った。
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玉子ぷりん - 見てて「こういうのもいいな」と新しい扉がひらいた気がします!(?)完結おつかれさまです!これからもおうえんしてます! (2023年4月3日 22時) (レス) @page23 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - ひてゃんさん» はじめまして、コメントありがとうございます!また、このお話を最後までお読みくださりありがとうございました!ひてゃんさんに、そのように言って頂けてとても嬉しいです🍀またご縁がありましたら、その時はよろしくお願いします🙇♂️ (2023年3月5日 0時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
ひてゃん(プロフ) - とてもおもしろかったです!!完結お疲れ様でした👏🏻❤️🔥 (2023年3月4日 12時) (レス) @page23 id: beb1a37d1b (このIDを非表示/違反報告)
黄泉(プロフ) - 悠さん» 悠さん、改めまして最後までお読みくださりありがとうございました!また、再びコメント頂けて嬉しいです🥰彼に人生狂わされたくて思いついた話なので、そのお言葉とっても胸に響きます😊今後ともご縁がありましたらよろしくお願いします🙏 (2023年3月4日 7時) (レス) id: ead223a600 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 自分はウェブで見てるのでフォローとかができないんですけどツイッターも見てます! 改めてお疲れ様でした! (2023年3月3日 23時) (レス) @page23 id: 1f3484379a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄泉 | 作成日時:2023年2月11日 16時