人の温もりを知らない少女は…【おそ松さん】【トド松】

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カラ松side

はぁ…参ったな…

時計を見れば午前二時。

皆は規則正しい寝息を立ている。

俺はと言うと、目が冴えてしまい布団に入ってからずっとこの体制を保っている。

布団に入って一時間。

眠気は全くと言っていいほど襲って来ない。

酒でも飲むか。

そう思い、布団から音を立てずに出て台所に行き冷蔵庫を開ける。

視界に入ったのはビール。

それを片手に縁側に行き、腰掛ける。

満月らしく月が綺麗で、外は少し明るかった。

ゴクっと喉を鳴らしてひと口飲む。

変わらない美味しさに感動する。

「そういえば…なんでA名前が無いとか言ったんだろうな…」

普通、親が居ないとしても叔父や叔母がつけるものじゃ無いのか？

まぁ、俺が気にする事じゃ無いが…

ちょっと気になるというか…

まだ会ったばかりだし、聞くのはな…

そんな事を考えながら、またひと口とひと口と口に運んだ。






気づけば時計は二時五十五分を示していた。

少しずつ酔ってきたのか、眠くなってきた。

眠ろうかな…

そう思い、一度トイレに行って布団に入る事にした。

廊下を通っていると、空き部屋から声が聞こえた。

Aがいる部屋からだ。

でも入るのは…

でも体は正直でノックをしていた。

「…A？」

声を掛けてみても返事はない。

でも声は聴こえる。

俺はもう一度声を掛けて開けた。

そこには…







過呼吸になって苦しむAの姿が目に入っていた。





俺はすぐにAに寄って背中をさすって、指示を出す。

よく一松が過呼吸になるから慣れていた。

落ち着かせて深呼吸をさせる。

怖い夢でも見たのか…？





A「はぁ…っ…はっ…」

呼吸も大分落ち着いて近くにあった水を渡す。

ただ手を肩に掛けただけなのに、ビクッと大きく肩を揺らす。

「大丈夫か？」

A「あ…えと…ごめんなさい…」

「え？」

A「寝る時間少なくなるから、部屋に戻ってください…私は…もう大丈夫ですから…」

そう言うと俺を外に出そうとするA。でも…

A「ゲホ、ゴホ！」

激しい咳を繰り返し出すA。

「大丈夫じゃないだろ？俺が寝るまで傍に居るから、安心して眠れ。」

それに反抗しようと試みるA。でも諦めたみたいで布団に入った。

俺はその隣に座り、子守唄歌う。

段々と瞼が閉じていくA。

カーテンの隙間から照る月光を浴びるその顔は、とても美しかった。

.

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