アンダルシアに憧れて

＊ ページ5

｢本当に桜木さんなの？｣
『ええ、勿論。これが名刺』




コナンに差し出したのは《作家 桜木A》と事務所名が書かれた名刺。
桜木Aといえば世界に名を響かせる推理小説家で、世界的ヒット作を数多く生み出している。

そしてコナン、いや工藤新一の父である工藤優作と並ぶほどの人気だ。




｢でも何で春野なんて偽名を使ったの？｣
『顔出し作家ではないからあまり本名を出したくなくてね』




また柔らかく笑うA。
桜木から春野......ハハ、安直だなぁとコナンは苦笑いした。




｢僕！この前の新作も読んだよ！！｣
『本当！......でも子供には難しくなかったかな？』
｢推理小説が好きでよく読むから大丈夫だよ！｣



コナンの感想を聞きながらAは手元にある自身の本にペンで何やら書き込む。
そしてコナンへと差し出した。



『これは秘密よ？』
｢え！いいの......?｣



サインつきの本。
しかも普段サイン会などしない彼女のものとなるとレアだ。

そしてじゃあね、探偵の坊や！っと手を振り去って行くAへ先程までの警戒心が嘘かのように無くなり｢じゃーねー！｣と手を振り返すコナン。
サイン本を見ながら微笑んでいると




______ﾌﾞｰﾌﾞｰﾌﾞｰ
とポケットの中のスマホが鳴った。

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