Step 45 ページ47
【sideA】
たしかに、先生にとって、私はなんなのか。
私にとって、先生はどんな存在なのか。
わからない。
でも、それを聞くの? それこそ恋人同士のやる事では。
煉獄先生は穏やかな表情で見つめている。
あまり、時間をかける訳にもいかない。そう思い、手に握っていたストラップを見る。
そういや、
――なんで、私のってわかったんだろう……?
他の人のものだったらどうするつもりだったんだろう。
店の中ではなく、店の外って言ってたから私じゃない可能性もあるのに。
『どうして、』
「ん?」
『これが私のってわかったんですか……?』
ストラップを紐からぶら下げて言う。
煉獄先生は「そうだな、」と言い、ははっと笑った。
いつもの笑顔とはまた違った、少しだけ柔らかい笑顔で。
「それは、俺が君にあげたものだろう? 贈り主が覚えてなくてどうする!」
まぁ、そりゃそうか。
でも、煉獄先生の言葉は終わりではなかった。
「ただ、」
『……?』
「君に贈った時……君はとても嬉しそうにしていた。から、君のだと確信したのかもしれないな!」
『………えっ……!』
頬に熱が集まるのがわかる。
私、そんなに嬉しそうな顔してたっけ?え?え?
私が混乱している事をよそにおいて、煉獄先生は「さぁ、帰ろう」と言い先に行ってしまった。
『あ、待ってください……!』と言い追いかけるが、熱は収まらないままだった。
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作者名:夢世 | 作成日時:2020年11月22日 23時