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恋38 ページ41

「今日は…リュックでみんな行くっつってたし俺もそうするかー」

リーダーの作ったしおりを見ながら、リュックにタオルも詰め込む。

あとはー…

「二郎ー、朝飯……あれ?なーんだ、起きてたのか!早く降りてこいよ〜」

「あ、兄ちゃん!うん、今行くよ!」

兄ちゃんが俺を呼びに部屋まで来た。

「最近二郎早起きだな、前はアラームじゃ全然起きなかったのに」

「あ、あはは…」




そう。

こう、地道にAちゃんの情報を集めていく上でわかったことがある。

Aちゃんの好きなタイプは曖昧だが、苦手なタイプは明確だった。






[一ヶ月前]


「ねー、Aってさどんなヤツがタイプなの?」

「タイプはわかんないけど、うーん…。私だらしない人は得意じゃなくて…。いくら仲良い子でも約束に遅刻しちゃったり目上の人に敬語使えなかったりすると、あれって思っちゃうから…多分好きな人がそんなだとやだ、かな」

「なるほどねぇ、ふむふむ……ねね、山田。ちゃんと聞いてた?」

「ん?まきちゃん?どうかした?」

「いやいや!なんでもないよ。じゃ、私行くねー!」

「うん?ふふ、ばいばい」






「お前、声でけーよ」

「うるさいわね、一言余計よ。手伝ってやってんだから文句言わなーい」

「へーへー。さんきゅな」

「まぁね。…だらしない人が苦手かぁ…じゃ私ダメね」

「お前は女だろーが」

「わかんないよ〜?合法百合かもしれない」

「…兄ちゃんには、ある意味ご褒美だな」

「一郎さっwひひっwまぁ頑張りなよw」

「おー、善処するわw」






まさかの橋本がオタクだったこともあり、こうやって手伝ってもらってAちゃんの情報を少しずつ、少しずーつ集めた。


【恋は盲目であり、人を変えるものだ】


いつか見たラノベの一文を思い出す。
あの頃は、『んだよ、これどーいう意味だ?』ってなったけど今となっちゃあ、すげーしっくりくる。

「二郎?どーした?」

「ううん!何でもないよ!ただ、早起きした方がシャキッとできて朝練に気合入るからさ!」

「そーか!二郎はすげーなぁ!…あ!そういえば今日だろ、野外授業。弁当下置いてるからな、忘れんなよ〜」

「はーい!」


2年でビッグイベントの1つである野外授業。
今日から三日間、俺は気合を更に入れようと心に決めた。

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作者名:音夜 | 作成日時:2021年2月27日 1時

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