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恋29 ページ31

「ただいま〜!」

「あら、Aちゃんおかえり〜あ、一真くん来てるわよ」

「え、一真くん?」

なんでいるの?だって私の方が先に帰ったのに…

そう思いながら、自分の部屋に行った。

「あ、A。遅かったな」

「ただいま、それより一真くん。何で私より先に帰りついてるの?!」

「べ、別にお前に会うために早く帰ったんじゃないからな?!」

「聞いてないよ…」

「俺は、あれだ、そのー、!!そうそう、お前体操服忘れてたろ!」

え体操服?
あ、本当だ。
カバンは持ってるけど、体操服のカバン忘れてた…

「ありがと、一真くん」

「いいって。お前昔っから忘れっぽいしな」

「そんなことないもんっ!だって私一真くんの誕生日忘れたことないでしょ?」

「っ、…な、なぁA」

「ん?なぁに」

私がそう言うと急に一真くんは黙ってしまった。
深刻そうな顔をして、何かを言おうとしては口を閉じる。

「も〜どうしたの?」

「Aは…俺のことどう思ってる…?」

「一真くんの、こと…?」

変な一真くん。
今更そんなこと聞いてどうするの?
そんなの決まってるじゃん…

「一真くんは私の大事な大事なお友達だよ?」

ちゃんと目を合わせて、私は伝えた。

「っ、それはさ」

「え?」

その瞬間、視界がグルリと反転して一真くんで視界が一杯になった。

押し倒されたのだ。


「…こうされてもそう言える?」

「どうしたの…一真くんなんかおかしいよ?」

一真くんは唇を震わせ、何かに耐えているような顔をした。

「俺は、Aのこと…そんなふうに思ってない」

「…」

「お前はドジでトロくて何にもできないどうしようも無い奴で、お人好しでなんでも溜め込んで1人で泣いちゃうような奴だ


でも…今までそれをずっと見てたのは、そんなAと一緒にいたのは…俺、なんだよ…」

私はコクンと頷きを一つ、返した。

「それをなんも分っちゃいねぇ野郎に奪われるのを黙って見てるだけなんて…俺にはできねぇよ…」


ピタ…ピタ、と頬に冷たいものが流れた。

一真くん…?泣いてるの?


「俺はさ、Aのこと…ずっと好きだったよ、小せぇ頃からずっと…どうしようもできねぇんだ、この気持ち」

一真くん、泣かないで?
そんな顔しないで?
私はまで悲しくなっちゃうじゃん…

「っ…A…?」

気づいた時には私は体を起こし一真くんを抱き締めていた。

何でそうしたのかはわからない。


でも
そうしなきゃ、一真くん消えちゃいそうだったから。

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作者名:音夜 | 作成日時:2021年2月27日 1時

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