恋4 ページ4
「あ、じろちゃん帰ってきたーー!」
「大丈夫だったのかよ…って、アザできてんじゃん?!」
「うわぁぁ!!俺らのじろちゃんがぁぁ!」
教室に戻ると、ダチが一斉に抱きついてきた。自習だった教室は尚も騒がしい。
「あーあー、大丈夫だっての。あ、それよりよー…」
「ん?どったの〜」
俺はさっき見た子の名前を知るべく、身振り手振りで特徴を話した。
「こんぐらいの背の高さで、髪が綺麗で…あと…か、可愛い顔したやつ…お前ら知らねぇ?」
「……」
「?」
「俺らのじろちゃん、可愛いかよ…」
「は、はぁ?なんで俺が可愛いんだよ…てか、知らねーか?」
「じろちゃーん、あのねー?180のお前からしたら女子みんなこーんくらいだぜ?」
「なんか他に特徴ないん?」
うーん、と唸る。他に特徴…あ、そう言えば…
「そーいや、今多分外にいるやつ!」
「保体の授業に出てんのかー、こっからわかるか?」
「あー…あ!あいつあいつ!!」
その子は転がるサッカーボールを小走りで取りに追いかけていた。結んだ髪がぴょんぴょん跳ねている。
「まさかAのこと?」
「あいつAっつーのか」
「いやー、じろちゃんもお目が高いねぇ」
「は?なんでだよ」
友達が、うんうん、と頷いていると別のやつが俺と肩を組む感じで入ってきた。
「分かるぜ、Aちゃん可愛いもんなー。ちょっと天然なところもまたいいよなぁ。あ、うちのクラスでも結構人気あるぜ?」
「は?!そーなのかよ!」
「おー、そう言えばお前のサッカー部のヤツも好きって言ってたなー…」
「マジかよ…」
「なになに〜?じろちゃん。恋しちゃったの?」
「う、うっせ…」
「はぁ〜、可愛いねぇじろちゃんは」
Aちゃんって言うんだ…つかそんな人気あるやつなんだ。まあ、確かにあの笑顔とか笑った時の感じとか…人から好かれそーだもんな。
「(また…話せるかな…)」
まるで心の中が溶けていくような気分だ。
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作者名:音夜 | 作成日時:2021年2月27日 1時