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恋22 ページ24

「おい、A」


「えっ、」

突如、声がして慌てて前を向く。
会話に夢中で全然気がつかなかったが、俺の目の前には…


「ひなたくんに…一真くん?」

「…何でいんだよ」


俺はAちゃんと “ 2人 ” で買い物を頼まれたんだ、
お前らが来ていい理由なんかどこにも無ぇだろ。

「2人が遅かったから様子を見に来たんだ」

「お前ら遅すぎんだよ」

わざとらしすぎるタイミング。
ぜってぇ狙ってたろ…

「そーかよ、悪かったな」

ぶっきらぼうな言い方ではあるが別に言い直す気もない。だって言えばライバルだろ?んだよ、こいつら。


「ほんとにそんなに遅かったぁ〜?まだ全然時間経ってないよーっだ!一真くんの体内時計おかしいんじゃなぁい?」

「は、はぁっ?!別に俺はAを心配してっ!」

「もー、一真くんは心配しすぎなんだってば。もう小学生じゃないんだし。それに二郎くんもいるから大丈夫だよ?ね、二郎くん」

Aちゃんが俺を見上げて首を傾けた。
もちろん、俺もそれに応える。

「そうだよ、俺がいるし。お前ら帰ってていいぞ」

いつもなら絶対ダチに向かってこんなこと言わない。
でも…仕方ねぇじゃんか、奪られたくないんだって…邪魔、すんなよ。


「なんだ、残念。あ、そうだAちゃん、」

「ん?どうしたの」

「橋本さんが呼んでたよ?なんか話したいことがあるんだって。先に行っておいで?僕たちが荷物持って行くから」

「そうなんだ、なんだろ…じゃあ私先に行くね!」


染谷がAちゃんにそう伝えるとAちゃんは小走りで行ってしまった。

あーあ、せっかく2人だったのに…

名残惜しい気持ちしかない。
ほんっと、なんなんだよこいつら。


「なぁ、二郎」

「…なんだよ」

「さっきは悪かった」

坂原が気不味そうに視線を泳がせた。
『さっき』というのは昼休みのことだろう。

「いや、俺も悪かった。考えなしに色々…」

「もういいって、俺も頭回ってなくてお前にひでぇこと言ったしな…」

「……」

またしても嫌な沈黙に入ってしまった。
でもそんな雰囲気を打ち破ったのは染谷だった。

「もう、2人とも!こんな変な空気にするのやめなよ、これからはそんな気分になってる暇ないくらい忙しくなるんだからさ!」

「染谷ぁ、お前意外と楽しんでんだろ?」

「やだな、一真くん。やめてよ…なんか僕悪いやつみたいじゃん…」

「心配しなくてもお前は元から変人だろ…」

「えぇっ?!二郎くんまで酷いよ!!」

 

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作者名:音夜 | 作成日時:2021年2月27日 1時

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