25. ページ28
・
『ありがとうございました、本当に何もかも』
「全然です。手、冷やしてくださいね?」
『冷やします、過保護な長谷川さんに心配かけないように! 笑』
そう少し悪戯な笑顔で笑うこの人は、やっぱり綺麗だ
「Aさん」
タクシーから降りようとしたAさんを引き止めると、不思議そうに僕の目を見る
今しかないと思った
「連絡先……聞いてもいいですか」
勇気を振り絞ってそう言うと
『もちろんです』
そう返事をして、一度車の外に出しかけた足を戻した
『あ、でも…』
「でも?」
『私なんかと交換して大丈夫なんですか?』
「私なんかって 笑」
『だってほら一般人だし、もしかしたら拡散するかもしれないんですよ?』
そうだ、普通だったらその可能性だってある
でも、
「Aさんはそんなことする人じゃないでしょ」
僕には分かるから。
誰よりも気を遣って行動している貴方が、そんなことをする訳がないってこと
『信じてくれてるんですね』
「当たり前です」
『ふふ、嬉しい』
新しい友達
その欄にAさんの名前があって、それだけでこんなに嬉しいんだ
「また連絡しますね」
そう言うと、またいつもの笑顔で笑った
・
641人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:檸檬 | 作成日時:2022年7月17日 23時