両片想い。

２５. ページ28

(慎side)









慎「ほら、Aさん」




俺が手を差し出すと、素直に手を重ねてくるAさん







…手、小さすぎ









楽しそうに鼻歌を歌いながら繋いだ手をブンブン振っている




なんだこの可愛い生き物は

こんなに可愛い酔っ払い、他にいる？








Aさんを見ているだけで、思わずニヤけてしまう









『あ、見て！雨〜！』


ポツポツと降り出した雨に、何故か興奮している

初めて雪を見たときの子供みたいな表情をするAさん







慎「Aさん、とりあえずあっち行きましょ」


『え〜』


慎「屋根ある所、行かないと風邪引くんで」


『はぁい、分かりましたぁ』






少し小走りで屋根のある所へ向かう


今日雨予報だっけ

Aさんと一緒なら天気予報確認してきたら良かった……そしたらAさん濡れないで済んだのに









慎「Aさん、これ」


『ん〜？』


慎「拭いてください」




コクッと頷いて、上着に付いた雨の雫を払う



雨に濡れたAさんの髪

その隙間から見える表情が、やけに色っぽくて






あぁ、ダメだな俺









慎「家どこですか？」


『う〜ん、眠い…』


慎「ちょっと、Aさん！？」




座ったと思えばスースーと聞こえてくる寝息






ちょっと…

家聞く前に寝ちゃったじゃんこの人









どうしよう、って言っても

朝までここにいるわけにはいかないし









慎「ほんと、この人は…」



こんな姿でさえ愛おしいって思う俺は、もう既にこの人の虜になっているのかも









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