再会の合図が鳴り響く ページ5
『…凄いんだな、お前』
随分間抜けた声が出た。"魔法を灰にする魔法"なんて、見たことは愚か聞いたこともなくて。それを、目の前のこの小柄な女がやってみせたのだから、尚のこと衝撃的だった。
――――…赤い髪。幼い頃、ほんの少しの間だけ共に過ごしたアイツを思い出して、ほとんど無意識に体が動いたのだ。未だ昨日のことの様に覚えている３ヶ月。
しかしアイツを繋ぎ止めてくれるのは、律儀にも毎月必ず送られてくる仕送りと手紙だけ。…ああ、会いたい。
「いやいや……、またやっちったよ」
コイツも感情のままに動くタイプらしい。セリフとは裏腹、清々しい笑顔で伸びをする女の顔を見つめる。…今頃、どうしているのだろう。
「…にしても、ごめんねお兄さん」
『…いや。首突っ込んだのはこっちなのに、逆に助けられた。謝るべきなのは俺の方だ』
「違うよ。一瞬でも不快な思いをさせたことにさ」
"お兄さん"なんて呼び方に妙なむずがゆさを覚えながら。大真面目な顔で謝罪を述べるソイツに言葉を返す。
『…律儀なんだな。おまけに気が強い』
「見かけによらず？」
『…ふ、あぁ』
ケラケラと笑う顔につられて、俺の頬も緩んだ。
「お兄さんこそ、見かけによらず結構言うんだね」
『…なあ、その"お兄さん"ってのやめてくれ』
「…ん？嫌だったか、じゃあ止そう」
小恥ずかしい気持ちに耐えかねて、思わず早口になりながらそう言えば。一瞬不思議そうな顔をしたソイツだが、すぐに笑顔を浮かべてこちらへ向き直る。
わざわざ相手と向き合って、目を合わせて話す辺りとか。弾むような話のテンポだとか。自分では気付いていないであろう、その小さな節々にアイツの面影を重ねて少し虚しくなる。
――――だから、すぐには信じられなくて。
思い出したように名を名乗ったソイツの、淡い瞳を凝視してしまう。
「アタイはA。好きに呼んでよ」
――――だって、
『…A。お前は、A・レヴェバーノだ』
「………え？」
戸惑った様子で足を止め、瞳の奥を訝しげに揺らす。…何だよ、覚えてないのか？こっちは未だ頭の中を占領されているというのに。紛うことなくその原因である張本人が、全く呑気なもんだな。
抱いた確信と、また会えたことに対する興奮が相まって。俺はしびれを切らして口を開いた。
『っユノだよ、ハージのユノ！』
「………へ」
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←逆転劇はいかがでせう
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニンピニン(プロフ) - スズムさん» ありがとうございます…！作者カッコいい夢主様大好物なので……！そう言って頂けて嬉しい………!! (2018年4月6日 12時) (
レス) id: 7f4bbc6d57 (このIDを非表示/違反報告)
スズム - うわぁぁあ！男の子の正体が気になるし、何より主人公がカッケェェェエ！めっちゃ面白いです！頑張ってください、応援します！ (2018年4月6日 7時) (レス) id: 34301fcb7a (このIDを非表示/違反報告)
ニンピニン(プロフ) - 紅葉さん» ええ……、原作沿いデスカラネ！！存分に夢小説スキルを発揮させてやりますよ！！ご都合展開で絡ませてやりますよ！！私のやっっすいプライドに懸けて！！お褒め頂きありがとうございます、頑張ります！！ (2018年4月5日 23時) (レス) id: 7f4bbc6d57 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 今後の展開がきになります！ちなみに、フエゴレオンさんとか、ヤミさんが出てきてくれると嬉しいです．．．！！頭の片隅にでも置いといてくださいな！ あと、とっても面白いです(*´∀｀)更新、楽しみにしてます！ (2018年4月5日 23時) (レス) id: cfdb26c000 (このIDを非表示/違反報告)
ニンピニン(プロフ) - 、。さん» 出しますよ……！なるべく多くのキャラと絡ませたいと思ってますので……！こんな駄作ですがどうぞ見捨てないでやって下さいこれからもよろしくお願いします！ (2018年4月5日 15時) (レス) id: 7f4bbc6d57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ニンピニン | 作成日時：2018年4月4日 12時
