居酒屋で会った婚約者【五条悟】

プロローグ ページ2

2015春。私は大阪で10年働いたオフィスから移動し、新しくなった東京支店で働く事となった。

大阪とは違う別の煌びやかな都会。人の波や行き交う車。

一地方民であれば目をキラキラさせる光景であるかもしれないが、私四宮 A(27)は違う。

｢あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛｣

なんと私は元々都民だったのだ。しかし、とある事から逃亡という目的で第二の都市と呼ばれる大阪で働き始めた。

それなのに!!

｢ごめんねぇAちゃん。上からの命令でさ、君来期から東京支店に移動になったのよ。事情話したんだけど取り付けてくれなくてねぇ｣

そう言って申し訳なく言った私の上司。いや、仕方ない。

幾ら私より偉い上司殿と言えど余り人事に口出しすればあの人の首も飛ぶかもしれない。あの人最近息子産まれたし。旦那頼りないって言ってたし。

別に恨みはしない。恨むのは上層部である。

何時か私が頂上とって大阪に出戻りしてやる。という、宣言を心中でしながらも目の前にいるお偉いさんにペコペコと頭を下げる。

くぅ〜！我ながら情けねぇ！と思いながらも、この商談が成立すれば少しは給料が上がるという、現上司の言葉に釣られてしまった私も私である。

仕方がない。平社員にとって給料アップはボーナスよりも嬉しい響きなんやぞ。

だが、ココ最近この昼間に出来た鬱憤を吐き出せる場所を見つけたのだ。その名もオアシス(居酒屋)

割と酒には強い方だった為、ここの飲み放題は私の週一の楽しみとなっていた。

何度か後輩を連れては一緒に飲んでいたが、その後輩も脱サラしてしまって今は1人である。

そしてそんな生活を2年程続けた頃だった。

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